『ニューヨーク フィリップ モリス アート アワード入賞者 24人展』 フジテレビフォーラム, フジテレビ本社ビルオフィスタワー22F (台場). 2001/6/2-6/17, 11:00-19:30. - 1996年入賞者) 曽根 裕, 福田 美蘭, 山中 学, 青島 一成, 片平 隆行, 川 哲也, 小島 久弥, 村井 啓乗, 尾道 幸治, 佐藤 義尚; 1998年入賞者) 板垣 由雄, マンマシーン (八谷 和彦, 小野原 明仁), もとみや かをる, 澤口 俊輔, 染谷 亜里可, 杉山 健司, 屋代 敏博; 2000年入賞者) 秋山 さやか, 林 憲昭, MMMプロジェクト, 奥村 雄樹, さとう りさ, 清水 寛子, 植田 けんじ. 1996年から隔年で開催されている、現代美術の公募のアワード。今までも 最終審査展などを観てきているのだけれども、どんな作品が入賞していたのか ほとんど記憶に残っていなかったので、復習という感じで行ってきた。 こうしてまとめて観るとそれなりに傾向があるのだなぁ、と思う。 意外に多かったのは、作家の心象風景や社会的な問題意識を模式的に作り込んだ 箱庭的なインスタレーション作品。それから、プロジェクトの記録を雑然と 観せるようなインスタレーション作品。確かに、1990年代中ごろ、そういう 作品を楽しんでいた頃もあったなぁ、と懐かしかった。しかし、今から観ると、 箱庭的、と言いたくなるくらい、私的というか、射程の短さを感じてしまう ところもある。 それから、大アート展やアーバナートのような、よりポップな公募の賞に比べて、 実際のところは、ほとんど距離が無かったようにも実感した。 今年に入ってからの『出会い』 (東京オペラシティアートギャラリー, 2001) や 『ギフト・オブ・ホープ』 (東京都現代美術館, 2001) といった展覧会は、 こういった賞 (これだけではないと思うが) が作った流行の上にあるとも思う。 そして、そういう作風から自分の興味がかなり遠くなってしまったことも感じた。 もちろん、今でも面白いと感じる作家もいた。同じ銭湯の男湯女湯を対称的な アングルで捉えて並べてプリントした写真作品で知られる 屋代 敏博 (1998年入賞) は、かつて、Morphe '97 で観た中で最も面白かったと印象に残っていた作家。 最近はあまり名前を見かけないのですっかり忘れていたのだが。こういう形式的な 強さのある作品の方が、面白さが長続きするように思う。形式的な面白さといえば、 新聞の天気欄のような日によって内容は変わるか同じ構図の所を速いこま送りで 送ってビデオを作っていた 佐藤 義尚 (1996年入賞) の作品も、形式的な遊びの 面白さがあったように思う。こういう作風の作家は、『出会い』や『ギフト・ オヴ・ホープ』のような展覧会ではなかなか出てこないのだけれども。 _ _ _ 同じく台場にあるアートスペースで行われていた展覧会を合わせて。 ヨシタケシンスケ 『おそらく後日改めて』 www.so-net/cafe, 東京都港区台場1-7-1メディアジュ5F (台場), http://www.so-net.ne.jp/cafe/, tel.03-3599-5270. 2001/5/18-6/18, 11:00-21:00. 1995年の『大アート展』で、「ACcess 100」を体験して以来、気になっている ヨシタケシンスケ の展覧会。 日常のちょっとした思いつきや目にした出来事のメモ的な絵をカフェの展示 用の壁にびっしり貼ったという感じの展示だった。さりげないユーモアと絵の 可愛さは、私的過ぎる感もあるけど、個人的には好きなのだけれど、展示と しては辛いかもしれない。むしろ、本にしてゆっくり観た方が面白いように 思うし。(もちろん、本にしたものが、売られていたけれど。) しかし、こういうアイデアを絵止まりにするのではなく、やはり物にして欲しい ように思う。「ACcess 100」のような不条理な被り物が大好きだっただけに、 最近はもう作っていないようなのだが、また被り物を作って欲しいと思う。 確かにカフェのような展示スペースでは、そういうものの展示は困難だろうし、 さりげない絵の展示の方が向いているのかもしれない。しかし、次回は 物の作品を期待したいように思う。 2001/6/17 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕