干渉する細胞メタムキン Cellule d'Intervention Metamkine NTT ICC ギャラリーA, 新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4F (初台), tel.0120-144199, http://www.ntticc.or.jp/ . 2001/6/17, 15:00-16:00 - Jerome Noetinger (sound), Christophe Auger (super 8, 16mm), Xavier Querel (Super 8, 16mm). 1990年代後半頃から、現代音楽や「実験的」な電子音楽を扱うレコード・ショップに 行くと必ずのように、正方形の紙の黒を基調とした同じような一連のジャケット デザインの小版の 3 inch CD をみかけるのだが、その一連CDをリリースしてきたのが、 南仏 Phone-Alpes の Grenoble を拠点に活動する Metamkine だ。実際のところ、 Metamkine の活動は電子音響的な音楽だけではなく、ライヴ的な映像を伴う Cellule d'Intervention Metamkine があるのだが、今回の来日公演でやっと その様子を観ることができた。 「実験的」な映像作品、ということであれば、動画というレベルであれば、フィルムや ビデオで様々な試みが行われているが、それをどう上映するかということに関しては、 むしろ作者の手を離れてシアターなどで行われることが多い。現代美術における ビデオ・インスタレーションでは、投影の仕方まで作家がコントロールすることが 多いが、それは反復的で静的な投影法か、それなりに予め計画された投影法が ほとんどである。Metamkine は映像の投影方法において、特にライヴ性や即興性を 重視したパフォーマンス的な上映が最大の特徴だろうか。 実際、観ていても、どういう映像を投影していたか (前半はかなり抽象的なもので、 後半は、女性の顔のアップの映像や、湾岸戦争以降の夜の戦火とおぼしき映像を 使っていたように思うが。)、というより、どう投影していたのかという方が 面白かった。映像の投影を楽器の演奏に例えれば、フリーキーというかプリペアド とでもいうような映像投影をしていた。フィルムを止めて投影ランプの熱か薬品か で溶かすかのような投影をしていたように思うのだが、あらかじめ作りこんで おいたものかもしれない。カラーフィルターをかけて色を変えたり、フィルムを 投影せずにほとんど影絵状態になったり。特に後半になると、映写機や投影する 自分の姿が影絵状態になることも多く、ほとんどアートのお約束とも言える自己言及 な状態になっていたが。自己言及に入るなら、もう少し遊びの要素があった方が 良いかなぁ、とは思った。観ていて、二人でプロジェクタを抱えて鬼ごっこする、 ということを考えてしまったが。いまのプロジェクタはそれほどハンディではないので、 軽快さを出すのは難しいだろうか。 音の方は、1990年代後半頃から一気に一般化したライヴな電子音響的な音楽の類型を 出るものでなかったように思うけれど。イデオムを排するような電子音じゃなくて、 アコースティックな楽器を使ってのコラボレーションとかの方が面白そう、とか 観ていて思ってしまった。 今回はパフォーマンスの後にレクチャーがあったのだが、それはパスしてしまった。 2001/6/17 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕