Taro Yukitake, _The Living Museum of Art_ 雪竹 太郎 『人間美術館』 Place du Palais, Avignon, France 2001/7/7, 18:00-18:30. Taro Yukitake, _Histoire d'Antonio_ 雪竹 太郎 『アントニオの夜会劇』 Place du Petit Palais, Avignon, France. 2001/7/8, 20:30-21:30. 1994年1月に新宿西口地下街で観て以来、気にかけてきた大道芸人、雪竹 太郎 を、 ついに世界的な演劇祭のオフ企画 Avignon Public Off で観ることができた。 もちろん、場所は劇場ではなく、街中、Palais des Popes の前の広場を使っていた。 _The Living Museum of Art_ は、ほとんど裸で白塗りの姿で、古代から近代に かけての彫刻や絵画の名作を、形態模写する、というもの。単に一人で演じるの ではなく、言葉を使わずに視線とジェスチャーだけで観客を小道具だけでなく 自分を動かすためにも利用しつつ、観客参加で Pablo Picasso, _Guernica_ を 完成させる、というフィナーレに持っていく、という、客との掛け合いが楽しい パフォーマンスだ。 一方、_Histoire d'Antonio_ は、_The Living Museum of Art_ の映画版という 感じのもので、観客を参加させて、簡単な寸劇をするというもの。最近の パフォーマンスでは、元ネタは不明確になっているようにも思うのだけれど。 いずれも、今まで、野毛大道芸 や 大道芸ワールドカップin静岡 で何回も観て いるものなので、むしろヨーロッパの観客にどうウケているのか、というのが、 一番の興味だった。実際のところは、日本での演技と同じくらい盛り上がっていた。 _The Living Museum of Art_ はセリフを用いないこともあって、客の反応も日本と 変わらないように感じた。むしろ、西洋の作品のネタが中心ということもあって、 France の方が反応が良いように感じるところもあった。_Guernica_ に観客を 巻き込むあたりもいつもどおりなのだが。場所に特有といえば、Palais des Popes の入口の石段の上で Auguste Rodin, _Honore de Balsac_ を演じるときに、 観客を使って持ち上げさせるという、ということをやっていた。この騒ぎも、 けっこう笑えたけれども。 _Histoire d'Antonio_ の方は、セリフがあるために、どうなるかと思ったけれど。 実際のところは、観客に演技させられる程度の簡単に覚えられるようなセリフしか ないので、言葉の壁などというのはほとんど無い、というのを実感。もちろん、 セリフはフランス語だった。 野毛や静岡のような日本のフェスティバルの場合、会場の広さの割に人が多いこと もあるせいか、立見の人垣でぎゅうぎゅうになって場所取りも必死なのだが。 Avignon では、立見もそれなりにいるけど、石畳の上にゆったりと腰を下ろして観る、 という感じ。日本での場合に比べ観客の密度は低いけれども、客の反応が良いので、 盛り上がりに欠けるという感じではない。演技そのもの、というより、こういった 場の雰囲気の違いは、面白かった。 2001/7/15 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕