Cirque Baroque, _Triple Trap_ Theatre Le Chien Qui Fume, Avignon, France 2001/7/8, 11:00-12:00 - Creation et Interpretation: Aurelie Horde, Anne Joubinaux, Jean-Baptiste Taguet. Musique: Francois Morel. Production: Christian Taguet / Cirque Baroque. France の nouveau cirque (現代サーカス) の代表的なカンパニー Cirque Baroque の 公演を Avignon Public Off で観てきた。カンパニーの主催者 Christian Taguet は、 野毛大道芸をはじめ、日本にしばしば来日して大道芸をしており、それを観たことは あったのだが、このような舞台はなかなか日本には来ないため、観るのは初めて。 大道芸的というか下世話な展開かと思いきや、とても美しく感動的な舞台だった。 Christian Taguet の息子 Jean-Baptiste と2人の女性 (Horde と Joubinaux) の 3人による空中アクロバットを中心とする構成。上に開かれた部屋の中に閉じ込めら れた3人が外への脱出を試みるが失敗し続ける、という不条理な物語仕立て。 おおまかなあらすじ程度で、セリフも無く、衣装や舞台装置もミニマルで抽象的だ。 サーカスというより、サーカス的な動きを大きく採り入れたダンス・シアターと 言ってもいい内容だ。 ブランコやティッシュ、ロープなど、様々な高度な空中アクロバット芸を次々と 繰り出していくのだが、粗い物語仕立てにすることによって、それぞれの演技が 切れることなく、有機的的に繋がって展開していく感じが、とても良かった。 3人の演技も高度で綺麗なのだが、それだけでなく、というか、クラウン的な 「失敗」「不器用」を感じさせるユーモラスな動作も巧く採り入れているのも 良かった。このようなユーモアは、不条理な物語展開とも合っていたのだけど。 この7月の Avignon 〜 Venezia で観た舞台の中で、最も素晴らしかった舞台だと 思うのだが。実際、観客のウケも大変よく、総立ちのスタンディング・オベーション を受けていた。こんなに客が盛り上がった舞台は他には無かった。 大道芸フェスティヴァルがらみでそれなりに来日している Taguet や Cirque Baroque だけれども、こういう舞台ももっと日本に持ってきて欲しいものだ。 ちなみに、会場の Theatre Le Chien Qui Fume は、Avignon Public Off の中では、 200席はあるかなりちゃんとした大きめ会場で、制作もちゃんとしているようだった。 _Rufus Se La Raconte_ という一人芝居もここで観たのだが、こちらは有名な俳優 なのか、満席で、TV取材も来ていた。この箱は城壁内の南東の水路沿いの道 Rue des Teinturies にあるのだが、この通りから Rue Bonneterie にかけて、 小さめだが面白そうな店やスペースが集まっているようだった。 _ _ _ Cirque Baroque, _Triple Trap_ はアート的な感じで良かったけれども、もちろん、 エンターティンメント的に楽しかったものもあった。 Les Acrostiches, _Comme un p'tit air de cirque_ College de la Salle, Avignon, Paris 2001/7/8, 17:15-18:30 - Jean Philippe Cochey-Cahuzac, Philippe Copin, Michel Navarro. 南仏は Toulouse, Midi-Pyrenees を拠点に活動する3人組 Les Acrostiches は、 ジャグリングとアクロバットを中心にコミカルに展開するクラウン・ショー。 Cirque Theatre と言われるジャンルに入るようなのだが、これといった物語がある わけではなく、ちょっとしたコントが展開していくという感じ。 正直に言って、フランス語のセリフはほとんど判らなかったけれども、セリフが 判らなくても充分に楽しい舞台だった。ジャグリングにしても、アクロバットに しても、レベルは高いのだけれども、難しいことをやっているということを表に ださずに、笑いを取りにいくところが良かった。テーマが Amadeus Mozart で、 歌を歌いながらジャグリングやアクロバットをすることが多いのだけれども、その 歌が、ちゃんと発声の訓練を受けたという感じで、また無駄に感じるほど巧い、 というのも良かった。 これなら、日本で大道芸でやっても、十分に盛り上がるのではないかと思う。 ちなみに、Les Acrostiches が使っていた会場は、College de la Salle (演劇学校) の講堂。古い石造り建物ばかりの城壁内にあって、校舎が近代建築だったのがとても 印象的だった。講堂は古い石造りの建物だったが。 2001/7/15 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕