『わたしの家はあなたの家、あなたの家はわたしの家』 _My Home Is Yours / Yours Home Is Mine_ 東京オペラシティアートギャラリー, 新宿区西新宿3-20-2, tel.03-5353-0756. http://www.tokyooperacity-cf.or.jp/ . 2001/7/1-9/16 (月休,8/5休), 12:00-20:00 (金土12:00-21:00) - Curated by Hou Hanru and Jerome Sans. アトリエ・ワン (Atlier Bow-wow), Foundation B.a.d. and their neighbours, Kim Sora / Gimhongsok, Jens Haaning, Surasi Kusolwong, Xavier Moulin / 小浜 泉 (Kohama Izumi), 小沢 剛 (Ozawa Tsuyoshi), Peripheriques, Suh Do-Ho, Wang Jianwei, 山出 淳也 (Yamaide Jun'ya). 学芸員が日本人ではく、建築寄りの参加者もいるので、少々毛色の違う展覧会になる かと期待した展覧会だが、『出会い』 (東京オペラシティアートギャラリー, 2001) や『ギフト・オブ・ホープ』 (東京都現代美術館, 2001) と同じように、どうして こういう形で表現しなくちゃいけないのか、と思うことしきりな展覧会だった。 『メイド・イン・トーキョー』で知られる アトリエ・ワン (塚本 由晴 + 貝塚 桃代) の『首都高ガイドブック』は、3年くらい前から首都高速の周囲の 面白い建築・空間を調査してまとめている、という噂を聞いていたし、それを 纏めたものなのだろう。僕自身、大学生時代に、首都高速界隈に生じた妙な小道を 「東京人工歩道」と題して散策ネタに使っていたくらいなので、こういうネタの 面白さはわかるつもりだし、それをまとめる労力は大変だろうと思う。しかし、 それが、どうして、ギャラリーの間を繋ぐゲート状のところ壁や天井に絵葉書を 敷き詰めるようにプレゼンテーションしなくてはいけないのか、そもそも美術展の 中で発表しなくてはいけないのか、少なくとも展示からは必然性が感じられ なかった。街中の建築物などに対して面白い視点を提示するのであれば、 雑誌やガイドブックという形 (のような形でも発表しているのだろうけれども。) でもいいと思うし、ウェブサイトでも良いように思うし、実際、かなり面白い 視点の路上観察系のウェブサイトもある。そういった紙媒体やインターネット での表現では何が抜け落ちて、美術館の壁などに絵葉書を貼りつければ、 その代わりの何が表現できるのか、という問題意識が、作品から見えてこない。 一方、もし、表現したいのが、貼られている葉書の内容ではなく、貼られている 場所・空間の問題だとしたら、Daniel Buren なんかのミニマルなやり方の方が 面白いと思うし、そのポップな焼き直しという感じもしてしまう。縞々の紙・布を 張るかわりに、葉書を貼るとでもいうような。 といっても、アトリエ・ワン の作品は、展覧会の中でも良い方の作品だった ようにも思うのだが。あとは、半透明の布で NY の自宅を実寸で再現した Suh Oh-Ho の作品も、コンセプト抜きで、半透明の布で包まれた空間の面白さ があったように思うが。 2001/08/05 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕