タムラ サトル 『電動雪山』 ギャラリーアート倉庫, 杉並区下高井戸2-5-1-2F (下高井戸), tel.03-3323-3415, http://www.method-tlp.com/artsoko/ 2001/6/25-7/22 (7/8休), 12:00-18:00. 巨大なワニの模型が回転したり、巨大な熊の模型がプロペラでレールの上で 動いたり、と、その形のナンセンスさはもとより、ワニの回転やプロペラが 生み出す風や唸る騒音からなる、身体感覚的な楽しい作品を作る タムラ サトル の新作は、その騒々しさを反転させたような作品だった。 白い山の上にひかれたレールの上を小さな白い山が、そろりそろりと動いていく。 今までならけたたましい音を立てて走るであろうところが、ほとんど物音を 立てずにゆっくりと動くのだ。一見して動いていないと思うほどではなく、 それなりに動いているというのも、白い山というナンセンスさと合わさって 面白いとは思ったけれど。しかし、今までのけたたましい作品との落差が 面白いのかな、と思うところもあるので、それを知らないとイマイチに感じる かもしれない、と思ってしまった。 2000年秋の Big Art の個展は見逃しているのだが、会場でビデオで観ることが できsた。1999年夏のオレゴンムーン・ギャラリーでの個展で見せた、ミニマルな 傾向の習作を、実際に巨大に作ったという感じのもの。巨大な木の円盤や白旗が 回転することによって、造形のナンセンスな面白さではなく、体感するほどの 騒々しさがミニマルに表現されているようで、面白そうだった。見逃したのが ちょっと悔やまれる。この方向性の作品の展開も、もっと見せて欲しいように 思った。 _ _ _ 實松 亮 『Horizontal Zone』 NTT ICCギャラリーB, http://www.ntticc.or.jp/ 2001/6/22-7/29 (月休) ホワイトノイズな長方形な映像を上下2つに並べて投影して「水平線」を作り出す、 という作品。『水平線の作り方』 (オレゴン・ムーン・ギャラリー, 1999) を 思い出させるタイトルだが、水平線方向に立体的な切り返しを使っておらず、 実際のところは、スリット状の光を投影した『Chunk of Frame』の裏返し、 という感じもした。『Chunk of Frame』では、スリットは透明な板で作られており、 実はそのスリットが投影されている光の形を作り出しているわけでなかったのだが。 同様に、『Horizontal Zone』に水平方向の線も、光源と投影面の間にある線状の 物の影というわけではない、というか。上下のパターンが明らかで、そうでない ことは見え見えだったわけだけど、同じようなパターンを投影して、あれって 思わせるような所も見せると面白いように思ってしまったが。 6/22 に行われた 實松 亮 / 足立 智美 / 瀬尾 亮 によるヴォイスをメインとした 即興パフォーマンスは、いろいろな音を出すのが楽しいのだろうな、というのは 伝わってくるパフォーマンスだったが。何か一つ自分の拘りの音というか拘りの 音出し方法・道具が見えるところがあると、ぐっと面白いパフォーマンスになった んじゃないかなぁ、と思うところも。ま、こんなところだろうか。 2001/08/05 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕