ゴキブリコンビナート 『報復ファンタジア』 ウェストエンドスタジオ (中野,新井薬師) 2001/7/28, 19:30-21:00 - ワード/リリック/コリオグラフ/装置: Dr. エクアドル. Music & Arrange: Dr. エクアドル + マンコ N.Y. + 病気マン. - Dr. エクアドル (川俣 しのぶ), 伊藤 美穂 (タケシ), ハエえもん (スピロ平太), オメス吉祥寺 (大森), マンコ N.Y. (荒川), 小山 涼 (瀬ノ上), 病気マン (飯坂), 戦国魔神無我 (先生・物吉), メクラヘビ (瀬ノ上の父), ボボジョ貴族 (みどり), セロトニン瘍子 (あゆみ, チェルシー), 田村 地中海 (理恵), 福永 淳, 福原 充則, 畔地 亮佑 (病人), 竹内 プー子 (おばあちゃん). ♪向いてない〜、向いてない〜、なんにも向いてない〜、という、観終わった後に 頭を回るような歌があったが、1999年に観た『粘膜ひくひくゲルディスコ』や 『ロワゾ・ブル ― 譫妄編』で感じたような強さを、この新作から感じることは 無かったように思う。 川俣 しのぶ が受ける「最底辺」としての農業高校での不条理なイジメと、 ハエえもん の「助け」による報復、そして、その報復すら完遂できない、という 展開は、最後には、この『報復ファンタジア』という報復の芝居すら完遂できない、 という、メタなところまで行った展開になる。何も完遂できないダメさ 「向いてなさ」加減、という話の基本的な流れは、良いかな、と思ったのだが。 歌も良いし、話の流れも良い、にもかかわらず、ダメだと感じたのは、登場人物の キャラ立ちの悪さかもしれない。今回は、特に、報復される側が弱かったように思う。 イジメの階層の頂点に立っていた 先生 のクセが弱くて、かつ報復のフェーズに 入ったとたんに消えてしまったため、報復のフェースでのテンションがぐっと 落ちてしまったように感じる。オメス吉祥寺 のような存在感のある俳優が、 先生でもなく、イジメ・グループの中でも目立った報復を受けない登場人物に 当てられていたの残念。 それは、スピロ平太 にも言えることで。彼の演じる ハエえもん も、あまり 強い特徴付けを必要とする登場人物でなかったように思うだけに、あの存在感ある 俳優にはもったいないように感じた。そんなこともあって、俳優ではなく、 豚 (今回も生きた豚が登場した) に頼っているように感じてしまうところもあった。 去年くらいから旬は過ぎたと感じているところもあるし、こんなものかなぁ、と 感じているところはある。去年末に『Death Musical ― 死期』を観たときにも、 今までより登場する役者の数も増えたが、そのせいもあってか、いささか表現が 薄くなった、と感じたのだが。今回もそれに近い印象かもしれない。オメス吉祥寺 や スピロ平太 の「濃さ」をもっと生かせば良いのに、と思うところもあった。 2001/7/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕