Luisa Lambri ギャラリー小柳, 銀座1-7-5, tel.03-3561-1896, http://www.bekkoame.ne.jp/~kimata/index.html . ライス・ギャラリー, 江東区佐賀1-8-13食料ビル3F, tel.03-5245-5522. 2001/10/12-11/10 (日祝休;ライス・ギャラリーは日月祝休), 11:00-19:00 『イメージの首飾り ― 現代イタリア美術にみる家族、政治、信仰のかたち』展 (原美術館, 2001) での、逆光気味に建築物に差し込む光を捉えた幾何的な パターンを強調するような建築写真が印象的だった (展覧会の中で最も気に入った) Luisa Lambri の個展が、都内2個所で開催されている。まだ、ギャラリー小柳 での 展示しか観ていないが、ギャラリーに置いてあった写真集で全作品の様子もある 程度掴めたので、紹介してしまおう。 今回の展覧会は、妹島 和世 + 西沢 立衛 の建築作品を被写体にしての作品。 ギャラリー小柳 の近くといえば、銀座通りを南に数百メートル歩いた所にある OPAQUE GINZA のガラス張りの建築が、妹島 + 西沢 の手掛けたもの。表参道から 渋谷川沿いに渋谷側へ入った所にも、そっくりな建物があるのだが、それも、彼らの 設計したものだったと思う。そういう建築に対するイメージが強かったので、 コントラストが強めの写真は、ちょっと意外なものだった。 写真は3種類ほどに分れるのだが、まず一つは、蛇腹状に開閉する木製の扉 (ガレージのものだろうか) が僅かに開いた状態を内側から捉えたもので、 その隙間から差し込む光を写真に捉えた、とでもいうもの。ガラス張りの建築、 というイメージが強かったので、こういうコントラストの強い写真が意外。 隙間にあまり色彩感がなくて、ホワイトアウトしたような感じになっている。 立体感が出ないように正面に捉えているので、光の模様のようで確かに綺麗だけど。 『イメージの首飾り』展に出展されていた写真のような、ガラスを通しての微妙な 色彩感とかがあった方が、美しいように感じる。いや、こういった色彩感が無い ところが、妹島 + 西沢 の建築らしさなのかもしれないが。 サッシの小窓を捉えたものは、鉄筋コンクリートの建物ならどこでもありそうな 気もするし、写真のコントラストも弱めだし、いささか凡庸な感じもした。 しかし、コントラストが弱め、といえば、ガラスばりの所から差す光を横から 捉えた写真は、その淡さがむしろ良いように思った。コンセプト的にも、 『イメージの首飾り』展での石造りの建物の通路に差し込む光を捉えた コントラストの強い写真と対比すれば、建築の違いによる仕上りの違い、という 感じで面白いと思った。 2001/10/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕