『オーストリア・デザインの現在』 原美術館, 品川区北品川4-7-25, tel.03-3445-0651, http://www.haramuseum.or.jp/ . 2002/1/26-4/7 (月休,2/11開,2/12休), 11:00-17:00 (水11:00-20:00). もっと趣味的なデザイン展を期待したこともあったのだけど、妙に半端な印象を 受けた展覧会だった。現代美術展でも、館長の趣味の色濃い展覧会をしている 私立の美術館だし、フロア面積からしても体系的な展示は難しいだろうし。 そういう展示に強いデザイン系のギャラリーなら他にもある。趣味的な展示も、 それはそれで良いと思うのだが…。 Porsche Design のランプのような典型的な工業デザインだけでなく、ラジオの 放送のプログラムや、博物館の企画のような、通常のデザイン展では扱わないもの まで扱うその幅は、それなりに面白いと思う。デザインの普遍性とかそういう ことを意識しているらしい、ということは、展示の解説を読んでいても伺えるの だけれど。しかし、それぞれのデザインの対象がどういう関連を持っているのか あまりに漠然で、単に「えっ、これもデザインなの?」という思わせるために 極端なものを持ってきてるだけ、って気がしてしまう。 しかし、デザインといっても、上流工程から下流工程まで、マクロなものから ミクロなものまで、様々なレベルのものがある、っていうのは、デザインを「設計」 という言葉に訳してみれば、こんな展示で示されなくても、当然だと思うのだ。 こういうことになるのも、多分に、意匠的なデザインと機能的なデザインの 二分法的のせいなんじゃないかと、勘ぐってみたくなるところもある展覧会だった。 しかし、原美術館でのデザイン関係の展覧会は、1996年の『倉俣史郎の世界』展 以来ではないだろうか。このときの方が趣味色が楽しめたように思う。久々の デザイン展だし、こんなものかなぁ、と思う。ところで、今年の夏のハラ・ ミュージアム・アークの展覧会の予定も、『三宅道子デザインのリサイクル(仮題)』 だという。最近、現代美術の展覧会が面白くないと感じていることもあり、 原美術館でのデザイン展の試みというのも悪くないかなぁ、と思う。 2002/02/09 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕