松蔭 浩之 『Yves Red Cap Klein』 NADiff, 神宮前4-9-8-B1 (表参道), 03-3403-8814, http://www.nadiff.com/ . 2002/01/31-03/10, 11:00-20:00. 作品を観ていて面白かったとは全く思わなかったのだけれど。何がダメだと感じて いるのだろう、と、考えさせられてしまった。 Yves Klein は独特の青い顔料を使った様々な平面・立体の作品で知られる作家だ。 それを、ネタにした作品。エレキギターのフライングVを青い顔料でペインティング した作品など、確かに馬鹿馬鹿しい面白さを感じないわけじゃない。こういう 元ネタの再解釈というか文脈の置き換えは、ある意味で、ポピュラー音楽における、 カヴァーやトリビュート物、もしくはリミックスなどにも相当する試みだと思う。 松蔭は、ゴージャラスというロックバンドでの活動もしているし、そういうことも 頭にあったのではないか、とも思うとろもある。トリビュート・アルバムよろしく トリビュート・グループ展をやったらどうなるだろう、と、この展示を観ていて 思ったりもした。 確かに、ポピュラー音楽におけるカヴァー物やトリビュート物でもつまらない物は いくらでもあるし、今回の展覧会のつまらさな、も、単にセンスが合わなかった だけかもしれない。 その一方で、1990年代末頃から、現代美術の制度や歴史を参照するような作品が、 軒並みダメと感じているところがあり、作品自体がダメというより、もっと 構造的な原因があるような気もしてしまうのだ。その構造的な原因の一つに、 日本の現代美術に僕が感じている、正統性の歴史の欠如感があるのかなと思う ところもある。そのため、こういう試みが、歴史の「組替えの妙」というよりも 「捏造の小賢しさ」と感じてしまうのかもしれない。 2002/02/16 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕