ゴキブリコンビナート vs 超歌劇団 『暗黒生徒会』 スフィアメックス, 品川区東品川2-2-8 (天王洲アイル), tel.03-5460-8511. 2002/02/09, 19:30-21:30 - 製作指揮: Dr. エクアドル. 作・演出・舞台美術: Dr. エクアドル + うるけん一郎太. - ゴキブリコンビナート: Dr. エクアドル, オメス吉祥寺, マンコN.Y., 男性コーラス部, 病気マン, メクラヘビ, ボボジョ黄桜, セロトニン瘍子, 紅茶華伝, 福永淳 (ピチチ4), ワッシャー木村; 超歌劇団: うるけん一郎太, 鵜飼 知実, 飯田 香, 馬走 POM, 魚人ごろー. 第11回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの特別企画として企画された 2劇団の共同公演を観てきた。ゴキブリ・コンビナート は、1999年のガーディアン・ ガーデン演劇フェスティバルで『粘膜ひくひくゲルディスコ』を観てから、それなり に追いかけてきた劇団だけれど、超歌劇団の方は、この企画で初めて名前を知った。 静岡を拠点に活動している劇団らしい。 ゴキブリコンビナートはかなり独自色が強い劇団なので、共演と言っても一方的な 感じになってしまう (ゴキブリコンビナートの作品に超歌劇団の役者が客演するか、 超歌劇団の作品にゴキブリコンビナートの役者が客演するような感じ) のではないか、 と予想していたところもあるのだけれど、うまく組み合っているのかな、と、観て いて思うところがあった。超歌劇団の作品を観たことが無いので、ハズしている所も あるかもしれないが、超歌劇団の作品をゴキブリコンビナート (Dr. エクアドル) が リミックスした、とでもいう仕上りだったのではないだろうか。ストーリーというか 設定の大枠は、あまりゴキブリコンビナートっぽく無かったように思うのだけれど、 デティールのあちこちにゴキブリコンビナートっぽさが食い込んでいるというか。 最初のうちは、劇中劇のような形でゴキブリコンビナートの舞台が組み込まれていて、 そんな感じで2劇団は住み分けて終わってしまうのかな、と思うところもあったけど、 後半はそこまで分れていなかったように思う。制作の大変さといかそういう部分は 客には分らないけれども、作品というか舞台のレベルでは、こういうコラボレーション の仕方は良かったように思う。 ゴキブリコンビナート は、『粘膜ひくひくゲルディスコ』 (1999) と 『ロアゾブル』 (1999) が最も好きで、正直言って、最近の公演はいまいちと感じている。 今回の公演に関しても、時に退屈と感じるところもあったし、暗黒生徒会 vs 野球部+バレー部 vs ... の構図にしても、いまいち説得力に欠けていたような 気もして、どうでもいいじゃないか、と観ていて思うようなところもあったのだけど。 今までのゴキブリコンビナートの作品の場合、階級意識やそれに伴うルサンチマンを 先鋭化 (というかデフォルメ) させた部分が、いささか無茶な設定の説得力の源泉の 一つになっていて、それが良かったのだが。それが無かったのは物足りなかった けれども、今回の公演に求めるものでもない、とも思う。さほど期待していなかった せいもあるのか、暗黒部活動の邪悪さを競う場面など、ゴキブリコンビナートらしい ミュージカル展開の寸劇という感じで、楽しめたのも確かだ。 ゴキブリコンビナートの舞台にしては汚くないし臭いも無いし、そういうことを 期待している人は物足りなく思うかもしれないが。そこらは無くても良いかな、と 思う。ゴキブリコンビナートらしさ、といえば、むしろ、せっかく設定された 舞台中央の絶対不安席が、いまいち生かされていなかったのがと思う。あの程度の 役なら、客席最前列でも良いように思ってしまった。 ま、良い作品というより、それなりに楽しめる企画物、という感じだろうか。 2002/03/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕