『メタファーとしての医学 ―― 芸術と医学展』 NTT ICCギャラリーA,B,ラウンジ (初台), http://www.ntticc.or.jp/ . 2002/1/18-3/24 (月休;2/10), 10:00-18:00. - Justine Cooper, 井上 リサ, 鯉江 真紀子, 小杉 美穂子+安藤 泰彦, 松居 エリ+原田 慎吾, もとみやかをる, シモガワケイ, Visual Brains (風間 正+大津 はつね), Wang Jian-Wei, ヤマ・ダ・リュウ. 前回の『信用ゲーム』展 (2001/11/2-12/24) が全く楽しめなかったので、 「芸術と○○」のようなテーマに少々いやな予感がしたのだけれど、期待して いなかったせいか、それなりに楽しめた展覧会だった。 最も良いな、と思ったのは、井上 リサ の作品。"Metabolism-Ringer Text 1" (2002) は、延命装置を使った作品なのだが、本来人間が繋がれているはずの 所に、生理食塩水が少し入ったガラスケースと黒いゴムの風船。皮肉でどきっ とするくらいのものはある。"Doctor's Hand 2002-1" (2002) は、無菌室用の 手袋を通して外科器を扱うことができるようになったインスタレーションなの だけれど、隠しカメラが仕込んであって、手術を受ける患者が医者を見上げる ような視角で、モニターから見られるようになっている。モニターに自分が 映っているのも気付かずに、外科器を熱心に弄っている観客がいたので、それが 面白かった、ということもあるのだが。 他の作品は印象に残らなかったけれども、井上 リサ の作品が面白かったので、 良かったかな、と。 Teresa Wennberg, _Brainsongs - Welcome To My Brain_ NTT ICCギャラリーB (Cave) (初台), http://www.ntticc.or.jp/ . 2002/1/18-3/24 (月休;2/10), 10:00-18:00. 『メタファーとしての医学 ―― 芸術と医学展』と関連した "Cave" を使った 立体映像インスタレーション。観客が多かったため、一度に6人が観賞し、 操作はオペレーターが別途行うという形式だったため、単なる立体シアターに なってしまった。つまらなかった。自分が操作すれば違うかもしれないが。 _ _ _ Roland Brener + 高島 陽子, _Endsville_ NTT ICCギャラリーB (初台), http://www.ntticc.or.jp/ . 2002/2/15-3/24 (月休), 10:00-18:00. 高島 陽子 は 『クリテリオム38 ―― Lesson』 (水戸芸術館, 1999) という ミクロポリテイックスを題材にした展示が印象に残っていて、その路線での作品を 期待していたところもあったのだが。ぐっと、題材は私的な感じになった ように思う。この題材の選び方は悪くなったとは思わない。 高度成長期くらいまでの夕暮れの街のノスタルジックな感じ、をイメージした 作品なのだろう。単純な形に省略された段ボール製の建物のミニチュアから 漏れる白熱灯の光の色と、サウンドインスタレーションで流される、チンドン屋 や竹竿売りの呼び声などが、その雰囲気を作り出している。しかし、 ノスタルジアは、細部の作り込みから浮かび上がってくるというより、記号的な 感じなのが、少々気になった。サウンドの選択に、リアルさというよりも、 ステロタイプな印象を受けてしまったからのように思うのだが。 _ _ _ 『行為と即応するデザイン』 NTT ICCギャラリーB (初台), http://www.ntticc.or.jp/ . 2002/2/24-3/24 (月休), 10:00-18:00. - 深澤 直人, etc. MoMA の _Workshere_ 展 (2001) に出展された "Personal Skies" をデザインした 深澤 直人 を講師にしたワークショップの成果展示。 "Personal Skies" は電話でその場所場所の空を呼び出す、というコンセプトで、 電話番号に対応した場所の空の映像を照明のように天井に表示するインスタ レーション。遠隔地の空をリアルタイムで表示させる、というのはそれなりに 面白いと思うけれども、電話で呼び出すという部分については、必然性がいまいち 感じられなかった。パソコンに入力でも、ATM端末のようなものでも良いように 思ってしまった。 成果展示の方は、特に強く印象に残ったものは無かった。 2002/03/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕