珍しいキノコ舞踊団 『フリル (ミニ) ワイルド in the Hara Museum Garden』 原美術館中庭, 2002/03/30, 18:30-19:30. - 演出・構成・振付: 伊藤 千枝. アートディレクション: 生意気 (David Duval-Smith, Michael Frank). 音楽: ammakasie noka. - 山下 三味子, 井出 雅子, 山田 郷美, 佐藤 昌代, 飯田 佳代子, 伊藤 千枝; マユタン, 小山 洋子. 1990年に活動を初めたダンスカンパニーの2000年の話題作『フリル (ミニ) ワイルド』 のリメイク版が、原美術館で上演された。2001年に Avignon Public Off にも、 この作品で参加しており、そのときの公演を観ている。Avignon はミニマルだったが、 原美術館中庭での上演はそれとは逆の指向を感じた。 生意気による、大量のキッチュなオブジェによって原美術館の中庭が飾り上げられて いる様子が強烈に印象的で、ダンスの方はいささか印象が薄くなってしまった。 もちろん、踊るオブジェ、とでもいう感じの面白さはあったけれども、思い返して みると印象に残ったような動きが無い。視野が広い野外での公演ということも あるだろうし、もともと、衣装にしても体の動きを際立たせて見せるというのとは 違うのも確かなのだけれど。 生意気 による美術は、庭の芝生の上や木、庭に面したホールの中に100円ショップで 売られているようなカラフルなプラスチック製品を使ったオブジェを飾り付ける だけでなく、ガラス窓や壁に悪戯書きのように黒い線画まで描かれていた。 原美術館の中庭での 生意気 のキッチュなオブジェの展示は、今までにもあったが、 今回は圧倒的な量で中庭の雰囲気を作り変えていた。こんな中庭を見られたのが、 今回の公演で最も楽しかった点だ。 しかし、この大量のオブジェ無しでダンスだけだったら、ちょっとキツかったかも しれないなぁ、とも思ってしまった。建物の屋上や窓も舞台として利用したり、 幕間に建物の壁にメイキング的な映像を投影したり、観客参加の群舞を利用したり、 と、演出的には工夫されていたと思うけれど。個々の動きの印象が淡くなって しまったようにも感じた。野外の作品だし、それで良いのかもしれないが。 原美術館の中庭を使ったダンスの上演としては、以前にも、パパ・タラフマラの メンバーからなるユニットによる『天空の墓標』 (1999) を観たことがある。 生意気 による美術のインパクトによるところが大きいように思うが、『天空の墓標』 よりも『フリル (ミニ) ワイルド in the Hara Museum Garden』の方が楽しめた ように思う。 ちなみに、29日の晩はかなり強い雨風だったのだが、その野外公演を行ったそう。 風雨の中でどう上演したのか気になってしまった。演出を変えたところもあった のだろうか。 2002/03/31 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕