『カンディンスキー展』 _Kandinsky_ 東京国立近代美術館, 千代田区丸の内公園3-1, tel.03-5777-8600, http://www.momat.go.jp/ . 2002/3/26-5/26 (月休;4/29,5/6開;4/30,5/7休), 10:00-17:00 (木金10:00-20:00). 1987年から15年ぶりに東京国立近代美術館で開催された Wassily Kandinsky の 回顧展は、Russia の美術館所蔵作品がメインで、前回の回顧展との重複は5点だけ。 1921年までの作品の展示だ。レアな気もするが、重箱の隅を突つくような感もある 展覧会のように思った。 確かに、2m×3mの _Composition VI_ (1913) と _Composition VII_ (1913) は 良いと思った。圧倒的だし、図版では味わえないとも思う。しかし、全体の展示で 最も気に気に入ったのは、今回の展示の中では最後の時期にあたる1921年制作の 一連の絵画。観ていて、ふと、テキスタイルの柄にしてもいいな、と思ったのだ けれど。それは、もはや絵画というより、純粋に色と形だけで良くなっている、と いうことなのだが。 子供連れの客が『青い狐』と題された絵 (1917) の前で、「この絵のどこに狐が いると思う?」と子供に話かけていたのを耳にしたのだけど。この展覧会の多くの 絵はそういう点では、モチーフに具象的な要素をそれなりに残している。例えば、 _Composition VI_ や _Composition VII_ にしても、風景の各要素を再配置したん だなぁ、と観ていてわかったりする程度に。それがダメ、というわけではない けれども、やっぱり普通の絵画なんだなぁ、と思ってしまった。 2002/04/28 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕