『カバレット・チッタ』 クラブ・チッタ (川崎) 2002/07/10, 19:30-21:30. - ダメじゃん 小出 (コント,ジャグリング), センチュリー 神山 (マジック), Kaja (ジャグリング), ふくろこうじ (オブジェクト・パフォーマンス), VJコミックカット (映像パフォーマンス), バーバラ 村田・柴崎 岳史・長井 健太郎 (映像マイム), 重森 一・まき (かぶりものパフォーマンス), 山崎 広太 (ダンス), Mr. Dai (ディアボロ), 王 輝 (ジャンピング綱渡り); こまっちゃクレズマー: 梅津 和時 (sax,clarinet), 多田 葉子 (sax), 張 紅陽 (accordion), 関島 岳郎 (tuba), 新井田 耕造 (drums); 巻上 公一 (voice,theremin,口琴), 内橋 和久 (guitar), 坂出 雅海 (bass), Samm Bennett (electronic percussion), etc. ダンスや曲芸、マイム、などのパフォーマンスや映像、生演奏の音楽からなる ヴァラエティー・ショーを観てきた。ダメじゃん小出 や Kaja、王 輝 のような 以前から大道芸でパフォーマンスを楽しんできた芸人と、梅津 和時 や 巻上 公一、 内橋 和久 など jazz / improv. のライヴを楽しんできたミュージシャンとの 共演ということで、期待が大きかったこともあり、いささか物足りなく感じる ところもあった。といっても、それなりに楽しめたのだけれど。 特にMCを使わずに進行したのだけれど、中盤を過ぎるまでそれぞれの芸や演奏の 切り替えのテンポが悪く、盛り上がりに欠けてしまったように思う。こういう 曲芸、コント、映像、音楽を交えたキャバレー的な舞台というと、小西 康久 (ex-自由劇場) 率いる バチカンブラザーズ の舞台を連想するわけなのだけれど、 彼らの場合、小西が仕切る進行がテンポ良く、それに客もノせられていると思う。 もちろん、MCを使えばいいというわけではないし、MC無しでテンポを出せるなら、 それはかっこいいようにも思う。しかし、今回のステージは音楽隊、特に、梅津の 仕切でなんとかばらばらにならずに済んでいた、という感すらあった。中盤過ぎ くらいまでのいささかシラーっとした雰囲気から、これなら、MCを使ったほうが いいんじゃないかなと思ってしまった。最初の携帯電話や煙草に関する注意 にしても、道化役のような芸人にやらせた方が、これからショーが始るぞという 雰囲気が出て客も引き込まれたように思う。ダメじゃん 小出 の出番がちょっと 少なく感じだのだけれど、彼の天皇ネタやショートコントのようなものを 芸の間の繋ぎにも使って、全体のテンポや流れを作る、というのもアリだった ように思う。 もちろん、個々の芸で楽しめたものもある。ダンスの舞台を観ても思うのだが、 録音された音楽に合わせるよりも、生演奏に合わせた方がパフォーマンスが 生きるように思う。特に、巻上-坂出-Bennett の即興演奏に合わせた Kaja の ジャグリングや、こまっちゃクレズマーの演奏に合わせた ふくろこうじ の オブジェクト・パフォーマンス のオブジェクト・パフォーマンス など良かった ように思う。最後になって盛り上がった Mr. Dai のディアボロや、王 輝 の ジャンピング綱渡りも、生演奏が大いに盛り上げたように思う。 しかし、王 輝 は表情や手振りで客を引き込むのが巧いなぁ、と、つくづく思った。 ブーメラン様のものをを使った芸は、大道芸で見た記憶が無いのだが、屋内だけ のものだけだろうか。 バンドの演奏も楽しみにしていたのだが、特に、巻上-内橋-坂出-Bennett の 演奏は、微妙なビート感もあって、これだけれライヴを観てみたいと思った。 あと、重森 一・まき の かぶりものパフォーマンス のときの、梅津-内橋 duo の Theronius Monk, "Around Midnight" もとても印象的だった。こまっちゃ クレズマーが悪かったわけではないが、こちらは、いつもどおりという印象。 クラウンやマイム、アクロバット、ジャクリング、オブジェクト・パフォーマンス のようなパフォーマンスは、日本の場合、大道芸以外の表現の場があまりない ように思うし、他の表現ジャンルから注目度も低いように思うだけに、こういう バラエティー・ショーがもっと続くと良いと思う。 2002/07/11 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕