塩田 千春 『不確かな日常』 Kenji Taki Gallery, 西新宿3-18-2-102 (初台), tel.03-3378-6051, http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/ . 2002/9/6-10/12 (日月祝休), 12:00-19:00. 薄汚れたタイル張りのシンクのようなものをギャラリーほぼいっぱいの大きさに 作り、そこにやはりちょっと汚れた感じの水を張り、中央に金属部分のみが 剥き出しになったベッドを置き、そのベッドに水をかけている、という作品だ。 通りから見ても、その廃墟然とした雰囲気が目に付き、思わずギャラリー内に 吸い込まれてしまった。ちょっと Anselm Kiefer のインスタレーションとかを 連想されられてしまった。 最近、個性とか独自性といったことが、単にちょっと私的なだけなこと、と いったことに矮小化されたかのような、箱庭風インスタレーションが流行って いるような気がするのだけれども。これは、単に私的な心象風景を見せている というより、人の注意を弾くような情念というか、ちょっと不安にさせるような 感じを雰囲気を持っていて、それが面白いように思う。 横浜トリエンナーレ2002での巨大な泥まみれの服に水を垂らしたインスタレーション 『皮膚からの記憶 ―2001―』は巨大で目立っていたけれども、それだけ、という 印象しかなかった。しかし、今回の展示を観て、まともな場所に展示されていたら、 面白く感じたのかもしれないとも思った。もう少し、他の作品を観てみたいと思う。 2002/09/08 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕