『コンスタンティン・メーリニコフの建築 1920s-1930s』 _Architecture of Konstantin Melnikov: 1920s-1930s_ ギャラリー間, 港区南青山1-24-3, http://www.toto.co.jp/GALLERMA/ 2002/10/19-12/21 (日月祝休), 11:00-19:00 Konstantin Melnikov は、1925年 Paris のアール・デコ博 (現代装飾・産業美術 万国博覧会) のソヴィエト館を手掛けたことで知られる Russian Avant-Garde な 建築家だ。 この展覧会のメインは、欧州各地の5つの大学で制作された建築模型だ。建築家や 経歴や建物に関する解説のテキストもミニマルで、現存する建物の写真なども展示 ではほとんど観ることができない。詳しい論説や写真・図版は、同時出版されて いる本 (TOTO出版, ギャラリー間叢書 19, ISBN4-88706-217-6, 2002) に載っている。 展覧会と本が相補的な関係になっている。テキストや図面は、展示室の壁で読むより 本で読む方が良いだろうし、この割り切り方はよいと思う。しかし、あまり模型を 見馴れていない僕からすると、手がかりとして、本に載っているような写真や パース・デッサンを模型にも添えてくれた方が、判り易かったかもしれない。 アール・デコ博のソヴィエト館など、その写真を何回も観たことあるのだけれど。 そんなにいろいろな角度の写真を見ていなかったせいか、外から見える階段と それに続く通路が建物の対角線を思いっきり貫いていたということに、模型を見て 初めて気付いた。この階段のせいもあって、建物の形状が長方形から少しひしゃ げている印象もあったのだが、実は長方形だということに気付かされたり。 模型を見て初めてどういう形だったか判ったし、大胆に対角線を貫く階段が普通の 直方体を動的に見せる力というのも実感したようにも思った。改めて、カッコイイ 建物だな、と思った。 大胆な扇型の形とゴツイ客席部の張り出しが印象的な Rusakov Workers' Club の 建物も、以前に Russian Avant-Garde 関連の本の図版で見て印象に残っていた ものだが。「ばか建築」的な印象もあったのだけれど、本に載っている現状の建物 のカラー写真を見ると、普通のモダンなホールという感じに見えた。もちろん、 年月を経て建物も枯れてきているし、単にモダンな建物に見なれている、という こともあるだろうが。模型からは気付かなかったのだが、内部が6つのホールに 分れていて、仕切を取って一つのホールとしても使える、という構造も凄いと 思ったけれど。 Russian Avant-Garde の本によく紹介されるような建物がやっぱり代表作だった、 とは思ったが。初めて見て印象に残ったのは、自邸。円筒を2つ連ねた形状といい、 蜂の巣のような六角形の窓といい大胆。単純にカッコイーと思った。しかし、 住みたいかというと、少し違うようにも思う。しかし、他の建物やその案を見ても、 円柱や半円、扇形といった放射状の形状が好きだったのだなぁ、と思う。そして それが機能性とか合理性の帰結と違う、装飾性というか個人的な拘りを感じて 面白かった。 2002/10/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕