Diversions - The Dance Company Of Wales パークタワーホール (新宿), http://www.tgud.co.jp/parktowerhall/ . 2002/11/23, 17:00-18:30. Roy Campbell-Moore 率いる Wales のコンテンポラリー・ダンス・カンパニー Diversions の公演を観てきた。ほとんど予備知識も無かったし、この公演で カンパニーの持ち味・個性が判った、というほどではなかったが、ユーモアも 感じられるステージで、とても楽しめた。 _Etch (Male Version)_ (2001) - Choreograhy: Roy Campbell-Moore. - Stuart Bowden, Romain Guion, Phil Williams. ダンスとシャドー・プレイの組み合わせによる20分の小作品。舞台前方の床に 照明を置き、その前で踊ることによって、舞台後方の壁に映し出される影が、 ダンサーとは別のもう一つの物語を作り出す、という感じの作品だった。 影と実体の組み合わせというのは、Philippe Decoufle もよく使うし、この12月に 来日公演が予定されている Rosas, _Fase_ (1982) もそうだし、それ自体は斬新な 手法というわけではない。しかし、遠近と影の大きさの違いをユーモラスに 使っていたし。例えば背中を擽るような仕草の表現など、微妙な身体制御の 巧さも感じさせてくれたのも、良かった。 『暗黙の了解』 _Unspoken Agreement_ (2001) - Choreography: 井出 茂太 - Deborah Ford, Yvette Halfhide, Emma Lewis, Leanne Lappin, Romain Guion, Phil Williams, Stuart Bowden, Raoul Rumas. いかにも、とても西洋的な顔出ちと体型と日本の中学高校の制服 (とその着崩し) を元にした衣装という組み合わせに、一条 ゆかり 〜 松苗 あけみ あたりの 少女マンガを連想させられるようなステージだった。それも、ガキな男子4人と ちょっとマセた女子4人にによる学園コメディという感じの展開で、とても笑わせて くれたステージだった。ちょっとした日常を描く、という感じなのだが、こういう ネタは演劇にすると事件性を要求されがちなので、題材的にもダンス向けだなぁ、 と思ったり。 男性4人も悪くなかったが、特に、4人の女性ダンサーのそれぞれのキャラが立って いたように感じて、一番楽しめた。(それは、僕が男性だったからかもしれないが。) そのキャラクターの使い分けに、松苗 あけみ 『純情クレージーフルーツ』(1988) の女性主人公4人組を連想してしまった。といっても、それに巧く対応するわけでは ないのだが。 日本の小劇場に共通するような日本ドメスティックなセンスもあるのだけれど、 文化的背景を共有しているとは思えないヨーロッパのダンサーに踊らせて抽象化 することによって、ダンスに仕立てているのが、とても面白いと思った。しかし、 芸も細かく、演出にあたってダンサーにどこまで背景を説明したのだろう、とも 思った。『中学生日記』(NHK教育のTV番組) を見せるとか、学園コメディの少女 マンガを読ませる、というわけにもいかないだろうに。 ちなみに演出は イデビアンクルー の 井出 茂太。イデビアンクルー の舞台は観た ことが無いのだが、どんな舞台なのか気になるところもあった。 しかし、この演目、今年の英国ツアーで初演をして、好評を博したという。いったい どのように受容されたのか、気になったりもした。 2002/11/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕