『ドイツの最も美しい本 2001』 _Die Schoensten Deutschen Buecher 2001_ 印刷博物館 P & P Gallery, 文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル (江戸川橋,飯田橋), tel.03-5840-1567, http://www.printing-museum.org/ . 2002/12/6-2003/2/16 (月休;12/23,1/13開;12/24,12/28-1/6,1/14休), 10:00-18:00. Germany の Stiftung Buchkunst (エディトリアルデザイン財団) が毎年選定 している『ドイツの最も美しい本』 (Die Schoensten Deutschen Buecher) を 紹介する展覧会。日本では1997年からモリサワ・タイポグラフィック・スペース (MOTS) で開催されていたが、今年は 印刷博物館 P & P Gallery での開催。 以前からこういう展覧会が行なわれているのにはフライヤ等で気付いていたけど、 行ったのは初めて。実際に本を手に取ることができるのが、とても良かったと思う。 文学一般、実用書、児童書、美術書、愛蔵書などいろいろなジャンルの本が対象に なっていたのだが、見た目に奇抜なものが無く地味な感じだが、とても読みやすい デザインのものが選ばれていたのが印象的。いかにもデザインに凝っていますと 主張しているけど、とても読めたものじゃない、ってデザインがなされた雑誌や 本がけっこうあるわけだけれども。やはり、読みやすさは重要だなぁ、と実感。 作家性は抑え目だけど、職人的な仕事の良さを感じることができて、楽しめた。 ちなみに、最も気にいったのは、Jorge Luis Borges, _Die Bibliothek von Babel_ (Steidl, ISBN3882437782, 2001)。"Typographische Bibliothek" というシリーズ の第4巻だそうで、実験的なタイポグラフィによる本のシリーズのようだ。しかし、 凝ったタイポグラフィーながら読みやすいし、フォントや色使いも控えめで上品だ。 後で、この本が2001年の第1位だったことを知ったのだが、それも納得の仕上りだ。 ちなみにこの本のデザインを手掛けている Klaus Detjen は、僕が知る限りでは、 1980年前後に ECM レーベルのジャケットもいくつか手掛けている。ミニマルな タイポグラフィでリズムを感じさせる Jack DeJohnette, _Special Edition_ (ECM, 1152, 1979, LP) など、彼のデザインのもので特に印象に残っている。 2002/12/08 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕