Rosas, _Fase: Four Movements To The Music Of Steve Reich_ (1982) 彩の国さいたま芸術劇場大ホール (与野本町), http://www.saf.or.jp/ . 2002/12/14, 15:00-16:10. - Choreography: Anne Teresa De Keersmaeker. Music: Steve Reich, _Piano Phase_ (1967), _Come Out_ (1966), _Violin Phase_ (1967), _Clapping Music_ (1972). - Anne Teresa De Keersmaeker, Michele-Anne De Mey. 結成20周年にあたる Rosas の公演は、主催の Anne Teresa De Keersmaeker の デビュー作 _Fase: Four Movements To The Music Of Steve Reich_ を、自身と Rosas 創立メンバーである Michele-Anne De May と2人で踊るというもの。 一時間余りの短いステージだったが、40歳以上とは思えない身体の動きを見せて くれたのが、一番印象的だった。 音楽は minimal music で知られる Steve Reich の最初期の作品を4曲使っていた。 この頃の Reich の曲は、僅かに周期長の異なる反復する2つのフレーズを並行して、 フレーズ上の「ウナリ」を作り出すような曲を作っている。特に、最初の _Piano Phase_ を使ったパートは、このようなコンセプトをダンスで視覚化 したとでもいうものだった。フレーズに合わせてターンを繰り返す、歩く動作を ベースにしたような踊りなのだが。最初のうちは、ターンのタイミングがズレ ていき再び合って行くところや、背景に写し出された影が重なるところでも そのズレが視覚化されるあたりが面白いと思った。途中、立ち位置を前後する ことによって、光の当たり方に変化を出したりしてはいたのだが、ダンスの方も ミニマル。さすがに20分を越える長さということもあって、後半ささすがに 催眠的にすら感じられた。 と、最初はちょっとキツいかな、と思ったが、全体としては良かったと思う。 一番楽しめたのは、パート3の _Violin Phase_ に合わせての De Keersmaeker のソロ。_Piano Phase_ 同様、身体を揺らしながら歩くような動作がベースに なった踊りなのだが、ステージ中央に丸く照明が当てられた縁をくるくると 回りながら、ときおりその円の中に飛び込むという変化の付け方が良かった。 円の縁を回ることにより、背景に写し出された影が大きくなったり小さく なったりするのも面白かった。 椅子に座ったまま上体だけで激しく踊る _Come Out_ では、斜め後方からの照明 によって、客席の横の壁に影を写し出したり。と、全体を通して影を効果的に 使った演出も面白かった。最後の _Handclapping_ の横向きでしか身体の動きを 見せないのも、影的な動きを見せるようで面白かった。 ただ、やはり彩の国さいたま芸術劇場大ホール向けの作品ではないのかな、とも 思ってしまった。2人で十分ステージを使いきっていたとは思うけれども、大きな ホールよりも、既成の建物を流用したこぢんまりしたスペースが似合いそうな 作品だと思った。特に、_Come Out_ のような横の壁に影を写し出すような演出は、 溜池山王の国際交流センターとか、横浜赤レンガ倉庫ホールくらいの規模の ホールが効果的かな、と思った。現在の Rosas の人気と評価からすると、小さな ハコでの公演はもはや難しいのかもしれないが。 音楽は生演奏ではなくて録音を使っていたのも、少々残念。2〜3千円高くなっても いいから、生演奏にして欲しい、と思っている。 と、気になるところも無くはないけれど、十分に楽しめた1時間余りだった。 2002/12/14 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕