クロード・レヴェック Claude Leveque, _Double Manege_ 水戸芸術館現代美術ギャラリー, 水戸市五軒町1-6-8, 029-227-8120, http://www.arttowermito.or.jp/ . 2002/12/21-2003/03/09 (月休;12/28-1/3,1/7,1/14休;12/23,1/13開), 9:30-18:30. France 出身の現代美術作家の展覧会は、現代美術ギャラリーの空間ほぼ全てを、 スピーカーからの音、ビデオプロジェクタの映像、ネオン管やブラックライトを 使って、一つの作品のように演出していた。舞台演出的とも感じる空間になって いて、楽しめた展覧会だった。 最も気に入ったもは、直線に並んだ5つのギャラリーとそれを繋ぐ真っ直ぐの 通路をぶち抜きで使ったところ。それぞれ暗明暗明暗という明るさになっている。 両端のギャラリーの通路が作る一直線の両端に鏡が対面するように設置されている。 その直線上を歩いて、鏡に映った自分を見ていると、前後にずっと続く道に たたずんでいる自分を見ているような気分になるのだ。特に、両端の暗い ギャラリーでは、ビデオプロジェクタがモノクロでちょっとピンぼけで、横方向に 動く映像を投影していたのだが、隣の明るいギャラリーに設置されたスピーカ から聞えてくるノイズと合わせて、雨の夜の街中のヘッドライトという感がした。 その雰囲気が気に入った。 さらに、鏡に映った自分や、壁に映った自分のシルエットが、雨の夜という設定の ステージに自分が立っているような気分にさせてくれた。両端のギャラリーには プロジェクタ以外何もなく、がらんとしている。思わず、暫らくの間、勝手に 自分の中でストーリーを作って、ギャラリーの中を動き回って自分の影で影絵遊び をしてしまった。傘を持ってくれば良かった、とか思ってしまったり。 映像だけの両端の暗いギャラリー、音と雷を思わせるようなネオンだけの明るい ギャラリーに比べ、ブラックライトと光る紐、床に引かれた砂利からなる 中央のギャラリーは、仕掛けが多すぎるように感じたけれど。砂利だけの方が、 それを踏みしめる音と、雨の街中のような光と音を楽しめたような気もした。 2003/01/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕