『カバレット・チッタ Vol.2』 クラブ・チッタ (川崎) 2003/02/07, 19:30-23:00 - Tatu Tyni (マジック), サブリミット (アクロバット,トラペーズ), ふくろこうじ (マイム・パフォーマンス), 神山 一朗 (マイム・パフォーマンス), Kaja (マイム・パフォーマンス,ジャグリング), 立川 笑志 (落語), VJコミックカット (映像パフォーマンス), Khadgaa (モンゴリアン・クラウン), 風間 るり子 (a.k.a. 黒沢 美香,ダンス), 水中三姉妹 (パントマイム), 元気いいぞう (コミックソング), アッパーホッパーアンサンブル (スティルト), 重森 一 (マイム・パフォーマンス), マーチングだるま団 (ちんどん), こまっちゃクレズマー: 梅津 和時 (sax,clarinet), 多田 葉子 (sax), 張 紅陽 (accordion), 松井 亜由美 (violin), 関島 岳郎 (tuba), 新井田 耕造 (drums); 巻上 公一 (voice,theremin,口琴), 翠川 敬基 (cello), 石橋 幸 (ロシア歌謡) 約半年前の去年7月にあったヴァラエティー・ショー『カバレット・チッタ』の 第二回を観て来た。去年同様の、ダンス、曲芸、マイム、映像、生演奏といった 演目だけでなく、落語などもフィーチャーして、ますます、盛りだくさんになった。 実際、去年より1時間半も長い3時間半もの公演だった。しかし、倍近く時間が長く なったと感じることなく、楽しめたように思う。前回は総合MCがあった方が良いと 思うほど、間が持っていないときがあった。しかし、今回はMC無しでも、流れは 遥かに良くなったように思う。 もちろん、全ての演目を楽しめたわけではないが、楽しめたものを中心に、演目 ごとにコメントを。 最も良かったのは、Finland 出身の Tatu Tyni。"Bare Naked Magic" と名乗って いるくらいで、ビキニの白いパンツだけの裸。その姿で、白いボールを出したり 消したりするマジックをした。服を着ていないだけに、どこからボールが出てくる のか、どこにボールが消えていくのか、とても不思議で、それだけでも面白かった。 それも、セリフを全く使わず、滑らかな身体の動きを見せていくところが、マイム的 ジャグリング的というか、身体表現としての美しさがあった。服を着ていないため、 身体の動きが映えていた。服を着ないというだけでなく、他の視覚的演出も、 ちょっと下から浴びるライトと、ステージ後方に浮かび上がる影程度。そうして 見える風貌も迫力あった。ミニマルに、身体の動きを際立たせるやり方が、とても 洗練されていて格好良かった。観ていてわっと盛り上がるような芸じゃなかった けれど、コンテンポラリー・ダンスに共通するような美しさがあったように思う。 日本の芸人では、アクロバットとトラペーズ (空中ブランコ) のサブリミットが 最も印象に残ったように思う。今までも静岡や野毛の大道芸イヴェントで観たこと ある男女デュオなのだけれど。サブリミットに限らず、アクロバット芸は野外や 大道ならではに演出されることが少なく、あまり強い印象は残らないことが多い。 今回も、ハコだからといって、それほど凄い演出で見せたというわけではなかった。 しかし、やはり、アクロバットはステージの方が映えるなあ、とづくづく思った。 最初と中頃にアクロバットを、そして、最後にトラペーズをやったことにより、 全体がぐっと引き締まったようにも思う。 立川 笑志 の落語も、うまく全体に馴染んでいて、おおウケというほどではなかった けれども、楽しめた。落語がアリならば、次は太神楽を是非、とも思う。しかし、 落語に太神楽では、キャバレーじゃなくて寄席になってしまうか…。 MCを使っていないだけに、こまっちゃクレズマーの演奏、特に、梅津 和時 は、 雑多な演目が並ぶ『カバレット・チッタ』の全体を纏め上げる鍵だ、と、つくづく 感じた。芸人の中からも、纏め役というほどではないけれど、全体を通しての 存在感を感じさせられる人が出てくると、もっと流れが良くなると思うのだけれど。 風間 るりこ (a.k.a. 黒沢 美香) のダンスの際の 梅津 和時 のからみとか、 巻上 公一 と VJ コミックカット の 映像・音響のセッションも、ヴァラエティー ・ショーならではの顔合わせだなぁ、と思う。凄い表現の衝突があったという ほどではないけれども、こういう演目もどんどんやって欲しいと思う。 気になった点を一点挙げておくと、長丁場だったせいか、演目の合間などに飲食 したりちょっと立ち歩いたりしやすくする工夫をして欲しかったようにも思った。 ステージを暗転してセットを変更している間は、短時間でも客席を明るくする、 というのもアリだったように思う。上演時間を長くするのであれば、ステージを 観ながらある程度まともな飲食ができるようにもして欲しいように思う。 2003/02/09 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕