『奇天烈喜歌劇 ミステリヤ・ブッフ』 神奈川県民ホールギャラリー 2003/03/08, 19:00- - 構成・演出: 加藤 直, 美術: 串田 和美, 作: Vladimir Mayakovsky, 音楽: 林 光, 萩 京子, 港 大尋, 振付: 伊藤 多恵. - 竹田 恵子, 大石 哲史, 青木 美佐子, 内田 紳一郎, 大月 秀幸, 小西 康久, 山本 光洋, 岡原 真弓, 鈴木 あかね, 内山 靖博, 酒井 聡澄, 張 春祥, 田中 利花, 南谷 朝子, 萩 窓子, ちぃ, Khadgaa, Tatu Tyni, 藤田 るみ, 青木 和美, 奥津 祐司, 佐武 令子, 相馬 陽一郎, 高木 陽子, 高升 裕一, 渡邊 潮, etc. - 山田 百子 (violin), 橋爪 恵一 (clarinet), 高橋 誠一郎 (fagot), 佐藤 芳明 (accordion). Vladimir Mayakovsky 作、Vsevolod Meierhold 演出の Russian Avant-Garde 演劇の伝説的な作品、_Misteriya Boff_ (a.k.a. _Mystery Bouffe_) (1921) が 加藤 直 (ex-黒テント) の演出と 串田 和美 (ex-自由劇場) の美術で上演された。 音楽の部分については俳優を含めて こんにゃく座 が大きく寄与している。 当時の舞台の雰囲気をちゃんと再現していたとは思わないけれども、大道芸的な 感覚で、とてもリラックスして楽しめた。Russian Avant-Garde の作品だった ということを、ほとんど意識しないで観ていたように思う。 劇場ではなく普段は展覧会に用いているギャラリーを使ったもの。客席らしき 客席はあまりなく、フロアの中央や通路状になった上の階を舞台的に使っていた。 会場に入ると、既に芸人が芸を初めていた。床に座り込んで Tatu Tyni の クロース・マジック、山本 光洋 のパントマイム、Khadgaa のジャクリングや ローラーボーラー、バチカンブラザーズ (小西 康久 + 内田 伸一郎) の変則編成 的なコミックバンドと続けて観ているうちに、大道芸を観に来ているような気分 になってしまい、妙にリラックスしてしまった。そんな感じで楽しんでいるうち、 2時間40分の時間が過ぎてしまったように思う。 開演前の芸のときに Khadgaa に弄られたり、芝居に入ってから観客も巻き込んで 連なって踊る場面で、小西 康久 に「一緒に連なって踊ろうぜ」と声をかけられて 一緒に踊ったり、と、客弄りに巻き込まれたことも、静かに観賞するというよりも、 大道芸的に楽しんだという気分になった原因かもしれない。 全体としてはドタバタ感もとても楽しんで観たのだけれど、ちょっと意外だった というか、ひっかかった点を挙げておく。 最後の大団円を原作通りにやるというわけにいかないのも判るけど、Mayakovsky の 遺書を読み上げたり、と、ちょっとシリアスに纏めようとし過ぎたかなぁ、と 感じることもあった。もっと馬鹿馬鹿しく終っても良かったのかな、と思った。 それから、Russian Avant-Garde というと大衆を動員した演劇をやっていたという 話も聞くし、もっと客弄りするかとも思っていたのだけれど、そんなに弄らなかった のも意外だった。ま、客は保守的なので、弄る部分を増やすのも難しくなるのかも しれない、と、客の反応を見ていて思ったが。 上演中はギャラリー内のあちこちで出来事が起きるのだけれど、あまり見えない ような位置になっても、スタッフに移動を促されない限り、ほどんどの客が動かずに 観ていた。こういうのを見ていても、けっこう観客って保守的なんだなぁ、と思う。 僕は、床に足を投げ出して座ったり、見辛くなると立ち上がって見える位置まで 移動したり、と、けっこうフラフラしながら観ていたが。 あと、映像の使い方とか、地獄でロックバンド、とか、ちょっと年齢層高いなぁ、 と思うところもあった。同時代的に解釈するなら、VJ / DJ 的なセンスというか そういう要素が入っていてもいいのに、と思うところもあった。確かに、そういう 所は大筋では重要な点ではないと思うし、地獄のロックバンドは、それはそれで 面白かったけれども。 それから、本筋とは関係ないのだが、『カバレット・チッタ2』で観ていたこともあり、 Tatu Tyni のクロース・マジックを間近で観て見破ってやろうと、開演前の芸の際に 最前列のそれも下からのぞきこむような位置に付いて観た。しかし、それでも、 よく判らなかった。ちょっと悔しい。 2003/03/09 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕