Yohji Yamamoto, _May I Help You?_ 原美術館, http://www.haramuseum.or.jp/, 2003/4/26-7/21 (月休;5/5,7/21開;5/6休), 11:00-17:00 (水11:00-20:00). 1981年に Paris Collection デビューした服飾デザイナー 山本 耀司 の展覧会。 といっても、服の展示は庭の周りに雰囲気程度、ファッション写真の展覧会、と 言った方が正確だろう。 正直に言って、この展覧会で Yohji Yamamoto が実際にどんな服を作っているのか 知ることは難しいだろう。知ることができるのは、せいぜい、どういうイメージを 持たせたいと思っているのか、だ。ファッション写真の展覧会として見たとしても、 それほど凄いと感じるような写真は無い。ただ、ハコの1920年代の洋館の雰囲気 もあって、洒落た雰囲気は充分楽しめるだろう。 思えば、川久保 玲 (Comme des Garcons) や 三宅 一生 が、ファッション史的な 面から戦略的と感じられるほど徹底したデザインをするのに比べて、山本 耀司 の デザインは多分に趣味的というか自然 (天然) というか、良い意味でのいいかげん さを感じさせるデザインだったように思う。そういうデザインには、こういう 趣味的なプレゼンテーションがハマるのかな、と思うくらいの説得力のある展示 にはなっていると思う。 最近の Yohji Yamamoto といえば、2001年の春夏、秋冬のコレクションにおける スポーツウェアとフォーマルな服の脱構築 ―― スポーツウェアに使われる素材や 部分的な形状を使って、ドレスやスーツを構築していく、という感じの服が印象的 だった。デフォルメされたり位置をズラされたりすることによって生じる形状の 面白さや、スポーツウェアとドレスやスーツの間にある社会的な文脈のズレの 面白さも もちろんあるわけだが。着るというより観る服、ではなく、機能的にも 着られる服という感じに仕上がっているのも良かったし、面白かった。例えば、 物によるようだが、スポーツウェア用の素材を使っているものには、簡単に家で 洗濯機で洗うことができるものもある。2001年の靴に始まり、現在 Y3 という ブランドとなった、Yohji Yamamoto と Adidas とのコラボレーションというのも、 この試みの上にあるものだ。 単に形状的にスポーツシューズっぽい靴を作るだけ ではなく、メーカーと組んで機能的にもスポーツシューズとしても使えるものを 作ってしまう、という。そういう面白さを最近の Yohji Yamamoto に感じていた だけに、その頃の写真すらなかったのは、ちょっと残念であったけれど。 2003/05/25 (2003/05/21) 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕