L'Elephant Vert, _Faunemes_ 六本木ヒルズ (六本木) 2003/07/18, 18:00-19:00. 2001年、2002年の大道芸ワールドカップにも出場していた France の劇団 L'Elephant Vert の東京での上演が実現した。上演作品は静岡のときと 同じく _Faunemes_。明確な物語があるわけではないが、心を吸い取る機械 らしきものを操る4人が、それを使って遊んだり権力争いしたりする、と いった感じだ。心を吸い取る機械という感じの設定も、衣装も、使う音も、 Sci-Fi 的である。しかし、この作品の最大の魅力は、セリフはほとんど全く 使わず、衣装に仕込んだスピーカーからの効果音と喉に仕込んだコンタクト マイクによるほとんど声にならない音だけを使い、身振りだけで、物語を 表現していくところ。物語が面白いというより、表情や動きに、ちょっと 可愛らしいところもあって、観ていて引き込まれるところがある。もちろん、 路上で演じる作品ならでは、観客も巻き込んでいく。心を吸い取られたり、 謁見式の客人を演じさせられたり。 このように路上で観客を巻き込んで演じる作品であり、その場の雰囲気で かなり違うものになる。静岡の駿府公園の城門と東京の六本木ヒルズでは、 建築物の意匠も正反対に近い。大道芸を目当てに集まる静岡と、勤めている 人や買物客が中心の六本木ヒルズでは、客層も大きく異なる。 最近完成したばかりの六本木ヒルズのモダンな意匠は、Sci-Fi 的な舞台と しては、はまっていたように思う。特に19日のアリーナでの上演では、 エンディングでは照明や噴水も使い、むしろ舞台作品的な演出も見せた。 そういう演出は下手すれば安っぽくなるわけだが、ここでは充分に Sci Fi 的な雰囲気を作り出すことに成功していたと思う。 19日の晩は時間帯が半端に早かったこともあり、人はまだまばら。しかし、 逆に空間を広く使い、観客の間に入って観客を使った演技をしてくれた ように思う。それも面白かった。それを目的とした客が集まる静岡のような フェスティバルでは絶対にありえない、事情がよくわかっていない通り掛かり のサラリーマンや買物客を捕まえて一緒に演じさせるようなハップニング的な 面白さも楽しめたように思う。 参考URL: L'Elephant Vert, http://www.elephantvert-theatre.com/ 公演の様子の写真, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/photoalbums/lElephantVert2003/index.html 2003/07/19 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/