東恩納 裕一 『Light Bright Picnic』 世田谷美術館 (一階企画展示室出口廊下), http://www.setagayaartmuseum.or.jp/ 世田谷区砧公園1-2 (用賀), tel.03-3415-6011. 2003/7/8-8/17 (月休), 10:00〜18:00 世田谷美術館の展示室出口とミュージアム・レストラン「ル・ジャルダン」を 結ぶ廊下は、実際のところは、ちょっとした裏道という感じだ。ほとんどの人は ここを通らずに、一度外に出るのではないだろうか。そういうわけで、あまり 人が多く通る場所ではない。そのスペースを使っての展覧会、ということで、 ひっそりやっている感じだ。 様々なワット数の丸形の蛍光灯 (といくつかの直管の蛍光灯) を白いプラスチック の結束バンドで繋いで、(もちろん骨格は入れてあるけれども) 球状や塔状に 組み上げた、光る彫刻だ。特に、様々な大きさのものから球状に組み上げたものは、 バッキーボール風だ。といっても、特に対称性を持つように組み上げてはいな かった。 蛍光灯の放つ青白い光も強烈だったのだが、なんといっても目についたのは、 結束バンドのあまった部分がピンピンはねている様子であり、沢山の電源の 配線が剥き出しで張られている様子であり、蛍光灯の安定器が壁にずらっと 並んでいる様子だ。 それは、仕上ったオブジェが作品であるというより、ここに仮設されたものが 作品であるという印象を強く与えるものである。規模が各段に小さいとはいえ、 川俣 正 や 國安 孝昌 の立体作品の素材を、蛍光灯で置き換えたようなもの にも見える。そういう点では、もっとマッシヴに作り込んで欲しかったような 気もするが。電源の制約もあるだろう。 例えば、安定器を球形の中に収納して、骨格も見えないようにして、結束バンド ではなくちゃんとした金具で蛍光灯を固定するようにしたら、単なる照明器具の ように見えてしまったかもしれない。結束バンドとか剥き出しの配線によって、 蛍光灯の安っぽさ、生々しさが剥き出しになっているような感じがして、 それがカッコ良かったように思う。 もちろん、球形の蛍光灯から結束バンドのヒゲがピンピンと飛び出て、多くの 電源線がまとまって出てきてる様子は、ウイルスや細胞かを拡大した模型の ようにも見える、という面白さがあったように思う。 小規模なので、それだけのために交通も不便な世田谷美術館に行くか、というと、 ちょっと躊躇するが。砧公園やその界隈に遊びに行ったら、そのついでに 覗いてみるのもいいだろう。 2003/08/02 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕