Philippe Jamet and Cie Clara Scotch, _Portraits Danses -- Le Tour du Monde_ 神奈川県民ホールギャラリー, http://www.kanagawa-kenminhall.com/index_n.html 2003/11/29, 13:30-20:30. - Written by Philippe Jamet, Philippe Demard and Didier Jacquemin. Direction and Choreography: Philippe Jamet. Video conception, editing, paintings: Philippe Demard. - Patrick Harlay, Claudia Miazzo, Naomi Mutoh, Hoang Quach Phuong, Elisabeth Valentini. France のカンパニーによる、プロジェクト・ドキュメンタリー的なビデオ作品と ダンスとの組み合わせは、とても面白かったというほどではないが、この方向で もっと洗練されていけば面白くなるかもしれないと思う程度のものはあった。 ビデオ作品は、世界各地の様々な人にインタビューし、愛、悲しみ、幸福、恐怖、 希望についてゼスチャーしてもらったものを一人あたり3分に編集し、10数人 くらいがカウチポテト的に観られるようないくつかのブースで投影したもの。 他にもスチルで作ったタブロー状のものや、飲み喰いはできないが休める ような椅子なども配置されている。このようなプロジェクト・ドキュメンタリー のビデオをまったりと観るようなところだけみれば、ありがちな現代美術での ビデオ作品という感じではあるし、まともに観ようとは思わなかったかもしれない。 ダンスは、ビデオで撮影されたジェスチャーを元に構成されたもので、恐怖、 幸福、悲しみ、愛、希望についてそれぞれ一人ずつ5人のダンサーがソロを踊った。 動きが超絶だったり面白かったりという程でもないし、舞台空間がちゃんと区画 されていることもあってか、ジェスチャーだけでなくその周囲の空間まで感じ させるような所も無かった。そういう意味では、ダンスだけだったらそれほど 印象に残らなかったかもしれない。 並置されていることにより、ダンスを観ながらあんな仕草をしていた人が ビデオに出てきてただろうかとも思ったり、ビデオを観ながら写っている人の 動きからダンスの動きを想像してみたりするきっかけにもなった。時間的に 余裕もあったこともあり、ダンスも2回みてしまったし、まったりビデオ観な がら長居してしまった。長居して観たことにより、登場人物の仕草以外の キャラクターの面白さも楽しむことができたような気がする。そういう意味で、 並置されていた意味は無くは無いとは思う。現代美術のプロジェクト的なビデオ 作品に退屈さを感じることが多かっただけに、身体性を加えることによって 退屈さを打破できれば面白くなりそうだとも思った。 しかし、ビデオのブースとダンスのスペースは明確に区画されたものだし、 ダンスが始まる前には係の人が人集めにビデオのブースに来るというものだ。 ダンスの前にビデオとの関係についても、ダンスの前に説明するし。 単に並置されているだけに近く、その繋ぎ方がどうもぎこちなく有機的な 感じがしないのだ。ここらの演出をもう少しなんとかならないか、と思って しまった。大道芸的に、もっとハプニング的にダンスを初めて、その周囲に サークルが自然に出来るというようなところも期待していたので、少々残念。 しかし、そうするには、ビデオのブースが空間的に閉鎖的だという難もある のもよくわかる。ダンスの音とビデオの音が混じってしまうのも気になった のも確かだ。音の使い方、映像の投影のしかた、ダンスとの絡め方など、 思い切った発想転換が必要なのだろうか。 sources: Philippe Jamet, http://art.leonardo.chez.tiscali.fr/philjam.htm 2003/11/30 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/