Pina Bausch Tanztheater Wuppertal 2004年の日本ツアーの2公演から。 Pina Bausch Tanztheater Wuppertal _Ten Chi_ 彩の国さいたま芸術劇場大ホール (与野本町), http://www.saf.or.jp/ . 2004/07/10, 14:00-17:00. - Premiere: Wuppertal, Germany, 2004/05/08. - Choreography: Pina Bausch. Set Design: Peter Pabst. - Performers: Regina Advento, Alexandre Castres, Mechthild Grossmann, Ditta Miranda Jasjfi, Eddie Martinez, Dominique Mercy, Thusnelda Mercy, Pascal Merighi, Nazareth Panadero, Helena Pikon, Jorge Puerta Armenta, Azusa Seyama, Julie Shanahan, Julie Anne Stanzak, Fernando Suels, Kenji Takagi, Aide Vainieri. 彩の国さいたま芸術劇場十周年ということで埼玉をテーマに委嘱した作品だ。 確かに日本をネタにした所があったが、クジラやイルカを用いた舞台美術といい 埼玉をネタにしたとは思えないうえ、構成がつまらない作品だった。 Fuer die Kinder von Gestern, Heute und Morgen (2002) 同様、Ten Chi も 関係性の低い短いネタ (コント、寸劇、ダンス) を繋いでいくような展開で、 ヴァラエティーショーを観ていくような所がある。 Fuer die Kinder ... では そういう展開もテンポ良く楽しめたが、 Ten Chi はそれが裏目に出たように思う。 舞台装置も変化があまり無く、それぞれのネタもソロが中心で、舞台上の空間構成 で観るところが少なかった。さらに、全体としてのストーリーも無く時間展開上の 構成で観るところも少なく、全体として漫然というか莫とした印象なってしまった。 30〜60分程度の長さであれば、ここまで否定的に感じなかったかもしれないが。 Pina Bausch Tanztheater Wuppertal _Bandoneon_ 新宿文化センター (新宿三丁目). 2004/07/17, 14:00-17:00. - Premiere: 1980/12/21. - Choreography: Pina Bausch. Set Design: Graff-Edzard Habben. - Performers: Andrey Berezin, Alexandre Castres, Silvia Farias, Lutz Foerster, Ditta Miranda Jasjfi, Melanie Maurin, Dominique Mercy, Thusnelda Mercy, Pascal Merighi, Cristiana Morganti, Nazareth Panadero, Helena Pikon, Jean-Laurent Sasportes, Azusa Seyama, Julie Shanahan, Julie Anne Stanzak, Fernando Suels, Kenji Takagi, Anna Wehsarg. Pina Bausch を有名にした1980年前後の一連の作品の一つの再演だ。名作と期待が 大きかったせいか弱干肩透かしだったが、それでも不条理で官能的な雰囲気のある とても良い作品だった。 最も気に入ったのは、カフェバー風の舞台。上手に設けられた扉、木の腰板、 天井近くの煤けた感じとかも、シュールで不条理感漂う官能的なパフォーマンスに ピッタリだったように思う。 前半は壁には額装されたモノクロの大版の写真ポスターがかけられ、腰板のあたり にはコート等がかけられ、フロアにはテーブルや椅子がならべられていた。 それらが前半の最後に片付けられるのだが、どんどん片付けられていく中で 組んだ男女が軽く体を揺らせ踊ったり馬跳び遊びをしている様子が、暗転しない 程度に照明が落された薄暗さも合わせて、かっこよく感じられた。後半のがらんと したフロアと壁際を暗くした舞台も良かったが。 また、多くを観ているわけではないが、今まで観た Pina Bausch の舞台の中で 最も官能的に感じられた舞台だった。肌の露出が多いとか男女の絡みが多いとか そういうわけでもなかったのだが。組んで踊る所などよりも、むしろ、動的な 躍動感があるというより静的で変則的な組んでリフトし下ろす際の動きが特に 性的に感じられた。 題名からもっとタンゴを踊るシーンがあるかと予想していたのだが、実際の所は ほとんど踊るようなシーンが無かった。静的に淡々と展開するところが不条理感と 官能的な雰囲気を引き立てていたとは思うが、全体としては地味だとも思った。 _Die Sieben Tudsuenden_ のような皆で歌い踊るようなシーンも観たかった、 というのも確かだ。それが、この作品を物足りなく感じたところだ。 SP盤音源と思われるタンゴなどのダンス音楽が多く使われていたのも良かった。 それだけに、新宿文化センターの音響の悪さが惜しまれた。 sources: Pina Bausch Tanztheater Wuppertal, http://www.pina-bausch.de/ 2004/07/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/