『リアクティヴィティ ― 反応=再生する可能性』 _Reactivity Unpredictable Past_ NTT ICC, http://www.ntticc.or.jp/ 西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4階 (初台), tel.0120-144199 2004/08/20-10/17 (月休), 10:00-18:00. - 010001110101101.org, Mathieu Briand, exonemo, Kuwakubo Ryota, Christian Marclay, Amit Pitaru, partable(k)ommunity, Eddo Stern, Du Zhenjun. 企画全体としてはあまりピンとこなかった展覧会だったが、いくつか楽しめた 作品があったので、軽くコメント。 Kuwakubo Ryota (クワクボリョウタ) の『101号室』 (2004) は、大量のパチンコ玉が 流れるような轟音が流れる、ほとんど真っ白に塗られ椅子が4脚ほど措かれた小部屋の インスタレーション作品だ。人の立ち位置によって天井を照らす間接照明の角度が ゆっくり変化するのだが、これによって、部屋が微妙に傾いているような感じが するのが面白い。ガラガラという轟音も、部屋が微妙に傾いた結果、天井裏にある パチンコ玉が転がっているかのような印象も与える。床がふわふわしているので、 部屋が本当に傾いているのかどうかはよくわからなかったけれども、本当に傾いて いたのかもしれない、と思う程だ。もう一点、この作品が僕が好きなのは、観客 との相互作用のタイミングだ。レスポンスの良い非常に判りやすいタイミングでは ないのだが、まったく判らなくてランダムにやっているのも同然というものではない。 ゆったりじんわり効いているようなディレイ感が、なんとも良いように思う。 この手のテクノロジーアートの作家の多くが、高速ザッピング映像や細かく 刻んだサンプリング音楽のような、高速度を意識させるような表現を多用しがち なだけに、このゆったり感は貴重だ。 クワクボリョウタといえば、今年の頭頃にやっていた NTT ICC のロビーを使っての インスタレーション作品『Rippling Floor』も、印象に残っている。床に線状に 4本ばかり照明が仕込んであって、人がそこを横切ったとき、横切った部分が光る という作品だ。そのレスポンスが遅めに仕込んであって、人が横切った後にじんわり 脈打つように光るという、余韻とでもいう感じが、やはり良い作品だった。 こういったインスタレーション作品をまとめて観てみたい作家だ。 他にも、3Dマウスを使って映像や音を発生させる portable(k)ommunity, _s3ga mark III_ (2004) や、観客にタブレットへ描かせた線を映像と音に変換 する Amit Pitaru, _Sonic Wire Sculpture_ (2004) も、単純に動いて音を出して 楽しむことができた。 関連企画のレコードカッティングマシーンをDJブースに持ちこんだ Mathew Briand, _SYS*011.Mie>AbE/SoS\SYS*010-2002_ (2002) のパフォーマンスも観た。 確かにその場でカッティングしているのだが、僕が観た最初の一時間に限れば、 それを生かしたパフォーマンスとは言いがたかった。ラップトップやターン テーブルに向かって音出しする electronica な音にラウンジという演出が、 自分の好みに合わなかっただけかもしれない。しかし、せっかく可搬のカッティング マシン持ってスタジオから出て来ているのだから、観客の中に入っていって音源 拾いすればいいのに、と思ってしまった。 2004/08/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/