キュピキュピ 『グランド歌謡ショー キャバロティカ』 スパイラルホール (表参道) 2004/08/29, 14:00-16:00 - 構成: キュピピュピ; グラフィック・デザイン: 市村 耕市; 造形: 木村 真束; 演出・映像: 石橋 義正; スタイリスト: 中西 陽子, 中西 恵子. - 分島 麻実 (vocal), Yossan (Golden Yoshiko), 野川 沙希 (Panoranoia Dancer), 小森 里子 (Panoranoia Dancer), カオリ (Nude Dancer), 北川 有己 (Fish Head), ターケン (Kayo Dancer-Percussion); Kayo Gakudan: 熊澤 洋子 (violin), 古味 寛康 (bass), 寺田 ちはる (accordion). 4〜5年前に初めて美術館でビデオ作品 (『狂わせたいの』とか) を観たときは、 正直、面白いと思わなかった。しかし、キュピピュピ の 石橋 義正 が手掛けた TV番組 『バーミリオン・プレジャー・ナイト』 (TV東京, 2001) はかなり楽しん で観ていたし、DVD も全5本買ってしまった。しかし、その中のシリーズ 『フーコンファミリー』が独立して映画化されたりもした 『オー! マイキー』 については、興味が持てなかったのも確かだ。 実際のパフォーマンスは、ビデオ作品よりずっと良かったと思う。ただ、身体表現の 人ではなく映像表現の人なのだなとも思ったし、そこが僕にとっては少々物足りない 所でもあった。 前だけでなく側面まで使った映像の投影は視野をほぼ被うだけに圧倒的だ。メインの 歌手 分島 麻美 の演歌ショー的なパフォーマンスを含め、キュピキュピの芸風とも いえる、高度成長期的なキッチュさエロティックさを1990年代的クラブVJ風の アレンジで作り込むテイストを堪能できたと思う。 しかし、特に4人のダンサーなど存在感が薄く、特に液晶調光ガラスを使った舞台 後ろのウィンドーケースでやっていたパフォーマンスは、映像の投影で充分で、 わざわざパフォーマンスでやらなくても良かったのではないかと思った程だ。 しかし、逆に、パフォーマを使わず映像だけでは、前半40分後半40分合わせて80分を 飽きずに観るのには無理だったように思う。そういう意味では、観客の注意を引き 付けるだけの最低限求められるレベルはクリアしていたようには思う。人が動いて いるという存在感はやはり強い、とも思ってしまった。 『バーミリオン・ブレジャー・ナイト』でやっていたようなコントを間に挟むと ステージの展開という面ではリズムが良くなったかもしれない、と思うけれど、 投影された映像イメージの世界に浸るには邪魔かもしれない。そういう点でも、 身体性よりも映像イメージの方に拘りががある人なのかもしれない、と思った。 sources: キュピキュピ, http://kyupikyupi.com/ 2004/08/30 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/