東京都写真美術館の展覧会をまとめて軽くレポート。 『日本の新進作家 vol.3 ― 新花論』 東京都写真美術館 3階展示室, http://www.shabi.com/ 目黒区三田1-13-3 (恵比寿), tel.03-3280-0033. 2004/12/25-2005/2/6. - 赤崎 みま, 銅金 裕司, 植田 珠実, 鬼頭 健吾. 最もひっかかったのは、銅金 裕司 の「植物カメラ」。最近流行のカメラ オブスキュラ・インスタレーションを一捻りというか反転したかのような もので、暗箱化したギャラリーの中央に暗箱ではなく明箱とでもいった ものを設置して壁に映像を投影している。 しかし、僕が「植物カメラ」という言葉で連想するのは、実は木漏れ日。 木漏れ日には、ピンホールカメラと同じ効果があるのだ。天文ファンの 間では常識的なことだが、部分日蝕のときに木漏れ日が地面に欠けた太陽の 三日月形を描くことが知られている。これこそ植物カメラではないかと思う。 こういう効果を使ったインスタレーションを期待したいところもある。 赤崎 みま の _Re-Luminous_ シリーズの蛍光するかのような植物の写真も 良かった。 Clare Langan, _A Film Trilogy_ 東京都写真美術館 地階展示室, http://www.shabi.com/ 目黒区三田1-13-3 (恵比寿), tel.03-3280-0033. 2004/12/18-2005/1/30. アイルランド (Ireland) 出身の映像作家の展覧会。この作家は初見だ。 青い色と液体 (水) の質感に拘った _Forty Below_ (1999)、黄色と粉体 (砂) の 質感に拘った _Too Dark For Night_ (2001)、赤い色と気体 (蒸気・煙・炎) の 質感に拘った _Glass Hour_ (2002) の短編映画三部作の上映とそのスチル写真の 展示だ。 粒子の飛んだ粗い画面、ピントがズレたようなぼけた感じなどを多用して、 かなり抽象的でスタイリッシュなイメージを作りだしている。抽象的な映像の ようで、人物の姿が写ったりと微かな物語性が感じられるのが、夢を見ている ような印象を受ける。かっこいいけど、表現に対するメタな視点があまり感じ られないのが、アート的というよりデザイン的に思う。 『明日を夢見て ― アメリカ社会を動かしたソーシャル・ドキュメンタリー』 東京都写真美術館 2階展示室, http://www.shabi.com/ 目黒区三田1-13-3 (恵比寿), tel.03-3280-0033. 2004/11/27-2005/1/16. 19世紀後半から20世紀前半にかけてアメリカで撮られたドキュメンタリー写真の 展覧会。それも、19世紀末のスラムの悲惨な生活、20世紀初頭の過酷な児童労働、 1920年代の荒廃した農村、1930年代の変容するニューヨークの街並などを記録 した写真などを取りあげている。表現形式というより、モダニズムの影とでも いうテーマが興味深かった。 3つの展覧会の中で『明日を夢見て』が最も人が入っていたのは意外だった。 sources: Clare Langan, http://www.clarelangan.com/ 2005/2/19 (originally written 2004/1/10) 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html