フルクサス _Fluxus: Art Into Life_ うらわ美術館, http://www.uam.urawa.saitama.jp/ さいたま市浦和区仲町2-5-1, tel.048-827-3215 2004/11/20-2005/2/20 (月休;1/10開;12/27-1/4,1/11休), 10:00-20:00. フルクサス再演《コンサート》 うらわ美術館, http://www.uam.urawa.saitama.jp/ 2005/1/23, 14:00-16:30 - 構成:村井 啓哲 - 1)Emmett Williams, _Counting Songs_ 2)Ken Friedman, _Fluxus Instant Theater_: 2-1)Alison Knowles, _Nivea Cream Piece_ 2-2)Alison Knowles, _String Piece (Variation On Braid)_ + George Brecht, _Two Durations_ 2-3)Alison Knowles, _Wounded Furniture_ 2-4)Lee Heflin, _First Performance_ 2-5)Ben Vautier, _Orders_ 2-6)Mieko Shiomi, _Disappearing Music For Face_ 2-7)Mieko Shiomi, _Shadow Piece No.3_ 3)Ben Patterson, _Paper Piece_ 4)Ken Friedman, _Card Music For Audience_ 5)Larry Miller, _Remote Music_ 6)Ben Vautier, _Audience Piece No.10_ 7)Richard Maxfield, _Mechanical Fluxconcert_ 1960〜70年代に欧米日本で展開した芸術のネットワーク Fluxus の、 『フルクサス』展 (ワタリアム, 1994) 以来首都圏では10年ぶりの回顧展だ。 観賞者も一部参加可能というのに惹かれて再演《コンサート》へ行ってきた。 主催者の予想を遥かに越える100人以上の参加者が集まって、正直に言って前半は 収拾が付いていないところがあった。自分が普通の観客の位置にしかいなかった 所があったせいもあると思うけれども、約1時間半かけた _Fluxus Instant Theater_ はメリハリなくパフォーマンスが続きいささか退屈するところもあった。 しかし、後半、Ben Patterson, _Peper Piece_ からは大いにもりあがった。 コンダクタの指示に合わせて紙を破ぶるパフォーマンスで、Radio Boy (aka Matthew Herbert) の "Rupert Murdoch" (in _The Mechanics Of Destruction_, Accidental, 2001) の元ネタとも言える作品だ。観客の個々に紙幣や新聞紙を 持たせるやりかたではなく、観客の手で支えるように頭上に幅1〜2mの パラフィン紙とクラフト紙の帯を渡してパフォーマンスは行なわれた。最初は、 指揮者の指示でそれを波打たせたりくしゃくしゃにしたり。そのうちに、 紙はビリビリに引き裂かれ、観客同士紙吹雪の掛け合いのような状態に。 で、皆で合わせて紙を破っておしまい。大判のパラフィン紙やクラフト紙が 立てる派手にガサガサいう音も聴き応えがあったし、大人も子供も100人以上が 紙を破り紙切を投げ合いかけ合う様は、祝祭的な楽しさがあった。さらに、 パフォーマンスが終った後、白と茶のくしゃくしゃな紙切れがギャラリーフロア 一面にぶちまかれた様は、美しくすらあった。これを体験できただけでも、 浦和まで行った甲斐があったように思う。 続く、Ken Friedman, _Card Music For Audience_ は観客参加型のゲーム・ピース (John Zorn, _Cobra_ や Butch Morris, _Conduction_ の原点の一つとも言える)。 1から10までの番号をふったカードを持つ10人が観客から選ばれ、やはり観客から 選ばれた指揮者の指示でカードの上げ下げをする。観客もあらかじめ番号と パフォーマンスを決めておき、自分のカードの上げ下げに合わせてパフォーマンス をするというものだ。小学校進学するかしないかという程度の女の子がカード 持ちに選ばれたせいもあるのか、とても大道芸っぽい雰囲気が楽しめてしまった。 最後に、天井から吊した手の彫像がピアノを弾く Larry Miller, _Remote Music_。 これとカメラのレリーズを使ってシャッターを切って記念撮影をして、 コンサートは終了した。 展示の方は10年前に『フルクサス』展 (ワタリアム, 1994) を観ていることも あるとは思うが、コンサートでひとしきり馬鹿騒ぎした後だったので、それに 比べたら死んだもののように感じられてしまい、あまりピンとくる物は無かった。 そういう点でも、コンサートに合わせて観に行って良かったように思う。 sources: Ken Friedman, et al (ed.), _The Fluxus Performance Workbook_, http://www.performance-research.net/documents/fluxus_workbook_screen.pdf 2005/01/24 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/