水と油 『移動の法則』 (_The Rules Of Transfer_) 新国立劇場 小劇場 (初台), http://www.nntt.jac.go.jp/ 2005/02/19, 18:00-17:30 - 水と油: じゅんじゅん (高橋 淳), ももこん (藤田 桃子), おのでらん (小野寺 修二), すがぽん (須賀 玲奈). マイムを基調としたフィジカル・シアターのカンパニー 水と油 の新作 『移動の法則』は、前半ちょっと退屈した所もあったが、全体としては 彼等らしい舞台を楽しめたように思う。 前半はビリヤードのプールバーを舞台としたような展開。舞台中央に白塗りの ビリヤード台が置かれ、その回りで動きが展開する。ビリヤードの球と人の 動きのリンクさせるような異なる空間の関係付けや、医師の診察をネタとした コミカルな展開も好きだ。しかし、中央にどっしりとビリヤード台が鎮座して いるせいか、空間が変容したり重力方向が変わったりするような感じが楽しめ なかった。 しかし、舞台広報と左右に立てられた白い壁をパフォーマー自身が押し引きして 動かし始めた所から、ぐっと展開が面白くなった。実際に壁が移動することに よって空間が変容していく面白さもある。また、変容した後はプールバーでは なく美術館の展示室という設定になったのだが、空間の抽象性がうまく使えて いたように思う。移動する壁や額縁による空間の移動と変容、まるで床が いろいろな方向に傾くようなパフォーマンスなど動きもダイナミックになった。 その間に挟まれる、奇妙な観客の作品を巡る寸劇様のパフォーマンスもコミカル で良かった。 最後には、プールバーの空間と美術館の展示室の空間が交錯するような空間に、 さまざまな方向に重力が働いているかのような、複雑なパフォーマンスを くりひろげてくれた。しかし、この最後のシーンまで、舞台の上に異なる 設定の空間を作りだすようなことをほとんどしなかったのが、気になった。 舞台上の2つの異なる設定の空間を繋ぐ御約束の小道具ともいえる鞄が今回は 使われておらず、今までのクリシェを排したのかもしれない。 sources: 水と油, http://www.mizutoabura.com/ 2005/02/19 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html