Zingaro, _Loungta, Les Chevaux De Vent_ 木場公園内特設シアター 2005/04/09, 17:00-19:00 - Conception, Scenographie & Mise en Scene: Bartabas. - Premier: Moscow, 2003. - Cavaliers: Bartabas, Manuel Bigarnet, Ketile Dubus, Abderrahman El Bahjaoui, Michael Gilbert, Benjamin Grain, Solenn Heinrich, Elodie Mathieu, Etienne Regnier, Sebastien Desenne, Messaoud Zeggane. Chantuer-Danceur Tibetain: Tenzin Gonpo. Danceurs-Musiciens: Fabrice Andriamilantonirinason, Abdouel Karimou. Moines Du Monastere De Gyuto. Chevaux: Apollon, Ares, Ascleptos, Chronos, Coppi, Darri, Demeter, Dionysos, Eros, Flash Okie Reina, Dades, Hephaistos, Hera, Hermes, Heza Great Royal Kid, Horizonte, Kid Label, King Black Solano, Le Caravage, Lobero, Pan, Pantruche, Poseidon, Priape, Zanzibar, Zeus, L'Ane Narthex. フランスの曲馬団 Zingaro の来日公演が実現した。演目は2003初演の新作だ。 日本では Zingaro に限らず曲馬団の公演自体を観ることがほとんど出来なく なっているなっているだけに、人馬一体でなければ実現できない高度な馬術から なる演技を笑えるものから迫力のあるものまで間近に観ることができただけで 十分に満足できた。演出よりも人馬の動き自体が楽しめたパフォーマンスだった。 芸術性の高さで評判高い Zingaro だが、実際に観ると、普通にサーカス的な面を 多く残していて、むしろそこが楽しめたように思う。「上演中の拍手をご遠慮下さい」 という事前のアナウンスもあって、みな静かに観ていたし、自分もちょっと声を 挙げたり軽く手を打ってしまったりした程度だったけれど、笑ったり拍手したり して観た方が楽しめたのではないか、と思うパフォーマンスだった。 サーカス小屋的な円形劇場で、中央にゆっくりステップを見せるのに主に使う 柔らかい赤土の円形のスペースがあり、速く疾走するための硬めの土の円形の コースが一段高くなって取り巻くという、円形舞台だ。舞台の直径方向で相対する 2箇所に舞台への出入口が設けられて、その上2箇所に楽隊の舞台が設置されていた。 最も気に入ったのは、馬一頭に騎手を6〜7名使ったシーン。柔らかい赤土の 円形スペース外周いっぱいに走らせ、舞台中央で吹かれる didgeridoo の低音の 響きに乗りながら、馬を止めることなしに騎手が順々にその馬を使って技を見せて いった。最初のうちは、下手なふりをして、わざと乗るのに失敗したり、押し留め ようとしたり、馬を追ったり追われたり。そんなコミカルな動きを見せている うちにいつのまにか巧くなって、走っていく馬にまさに生きて走る鞍馬とでもいう 技を見せてくれた。しかし、最後に、一人が馬に乗り、残りが馬の尾から数珠 つなぎに繋がって走って、ちょっとコミカルにかっこよく退場するかという所で、 最後に馬に振り切られて、みんながコケてから退場。まさに、高度な技に支え られた曲馬クラウンショーといった展開で、笑うところだったように思う。 可笑しかったシーンといえば、女性騎手の乗った白馬1頭と数十羽のの鵞鳥を使った パフォーマンスも、鵞鳥の愛らしさもあって良かった。 迫力のシーンとしては、前半の馬3頭を円周コースで高速にぴったり並走させた 上でのアクロバット。3人が馬を御し、2人が馬の上に立ち、2人の上に1人が立つ という離れ技だ。前から3列目の席ということもあり、円周コースで速く駆ると、 目の前を通過する度に風圧を感じたし、時おり砂もかかった。そういう感覚も、 迫力を増してくれたように思う。 最後に近いシーンでの、馬を中央に集め、円周コースを使って、個々の騎手が馬を 高速で駆りつつソロで自分の得意技を披露していくシーンも、見応えがあった。 といっても、中で最も気に入ったのは、青いパラソルを使った女性騎手のコミカル な技 (傘を広げて風に煽られたようなパフォーマンス) だったりしたが。 主宰の Bartabas のパフォーマンスは、舞台中央で馬の細かいステップ捌きを 見せるものが中心。後ずさりや斜行、回転などを滑らかに見せてくれた。確かに 難度高そうなのだが、滑らか過ぎて逆に単調に感じた所もあった。音楽などで もっと工夫してくれればとも思った。 演出面で気に入ったのは、舞台中央の円形スペースを蚊帳状に覆うことが出来る ほとんど透けている薄い幕。蚊帳状に覆ってライティングによって中を見えなく したり、中の照明を付けてカプセル状の舞台を演出したり、裾を持ち上げるように 幕を上げてスクリーンに使ったりしていた。しかし、投影された映像が凄いと 感じるほどのものは無かった。 音楽としてチベットのギュトー寺院の僧侶 (Moines Du Monastere De Gyuto) の 祈祷や dedgeridoo、African percussion 等を使っていた。馬を速く駆るときは 単調な音が逆に緊張感を高めて良かったように思うが、細かいステップを見せる パフォーマンスの際には、もっとメリハリのある展開の音楽の方がいいかもしれ ないと思った。チベット的なモチーフについては、個々の技見せのシーンが バラバラにならないよう全体の統一感を出していたが、それ以上のものでは無かった ように思う。骸骨の被り物など、少々見世物小屋っぽくて良いかもしれない、と いう楽しみ方はしたが。もちろん、馬術だけで十分に見応えあるので、演出や音楽の 印象がいまいち薄くなっているということもあると思う。 sources: theatre equestre Zingaro, http://www.theatre-zingaro.com/ Zingaro 日本公演, http://www.zingaro.jp/ 2005/04/10 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html