Berliner Ensemble, _Der Aufhaltsame Aufstieg Des Arturo Ui_ (1995) 新国立劇場中劇場, http://www.nntt.jac.go.jp/ 2005/06/26, 13:00-16:30 - Written by Bertolt Brecht. Directed by Heiner Mueller. - Martin Wuttke (Arturo Ui), Thomas Anzenhofer (Roma), Manfred Karge (Giri), Viktor Deiss (Givola), Stefan Lisewski (Dogsborough), Michael Gwisdek (Actor), Margarita Broich (Dockdaisy,Ms Dullfeet), Roman Kaminski (Dullfeet), etc. Berliner Ensemble は、米国亡命から Berlin に戻った Bertolt Brecht が Helene Weigel と1949年に結成した劇団だ。今回の来日公演での演目は、Brecht が 米国亡命中の1941に書いた Hitler 風刺劇を元に、Heiner Mueller が演出した作品だ。 Martin Wuttke 演じる Arturo Ui がいかにも Hilter と判りやすうえ、その演技が 面白かったので、とてもとっつきやすく楽しめた舞台だった。 1930年代のドイツにおける Hitler 率いる Nazis の台頭を、大恐慌時代のシカゴ (Chicago) における Arturo Ui 率いるギャングの台頭という形にして描いた作品で、 登場人物は当時の Nasiz 界隈と完全に対応している。といっても、そのギャングを リアリズム的に描くのではなく、むしろ、その社会的図式を象徴的な形で舞台上で 演じ上げていくというもの。 最も可笑しかったのは、老俳優が Arturo Ui に歩き方や演説の仕方を教える場面だ。 この場面は、メタな演劇批判にもなっているのだ。「Shakespear がいなかったら Broadway の舞台に立っていただろう」とか「Ibsen を Shakespear 風に演じては だめだ」のような内容のセリフが出てくるのだが、これは Shakespear を揶揄して いるようで、その返す刀でリアリズム演劇 (Ibsen) や商業演劇 (Broadway) を 切り捨てているという感じで、とても可笑しかった。もちろん、そういう演劇批判の 文脈抜きに、Arturo Ui が古典的な身振りや演説手法をぎこちなく学ぶ様子 そのものが可笑しいのだけれども。 社会的図式を演じるということもあって、舞台美術は抽象的だった。中央に身の丈 ほど高さのステージを作り、そこを赤い枠で囲っていたのだが、これが、映画や テレビでのマルチウィンドウのような空間分節をしつつ、その間に演技を通して 相互作用が生まれる感じが面白かった。 俳優の存在感というか役のキャラ立ちは Arturo Ui を演じた Martin Wuttke が 圧倒的だった。登場人物の個性をリアルに描くというより、社会的図式を描くという 傾向が強い作品の性格もあってか、Ui 以外の登場人物の印象がいまいち薄くなって しまったのが、残念な所だった。 元の1960年代の演出では、場面ごとに対応する実際の Hitler 関連の事件を字幕で 投影していたとのことだが、Mueller 演出ではそのような演出は無く、対応関係は 判り辛くなっている。Nazis に詳しく無ければ Ui が Hitler であることくらいしか 判らないのではないだろうか。具体的な対応関係を薄めにしたことによって、 手下に青果商を襲わせつつ (つまりテロを起こして)、その用心棒代をせしめ 街の実権を握っていく様子は、むしろ、今世紀の世界の状況を風刺しているように 感じられるときもあった。もちろん、1995年の初演の時点では、そんなことを意図 して演出したわけではないだろうが。 sources: Berliner Ensemble, http://www.berliner-ensemble.de/ 2005/06/26 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html