ローリー・アンダーソン 『時間の記憶』 Laurie Anderson, _The Record Of The Time_ NTT ICC, http://www.ntticc.or.jp/ 東京都新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4階 (初台), tel.0120-144199. 2005/7/22-10/2 (月休), 10:00-18:00. 1980年前後に New York から登場したパフォーマンス・アーティスト Laurie Anderson の Musee d'Art Contemprain de Lyon が企画した国際巡回展の日本展だ。 展示は、作品そのものの面白さを感じるという程でも無かったが、パフォーマンス 記録映像上映から時代を感じられるようで、興味深く見られたように思う。 1980年代以降、電子化されたサンプラーやエフェクタ、ビデオプロジェクション を使った音楽ライブが一般的になったこともあるのか、パフォーマンス記録映像を 見ていても、音楽のライヴに近い印象も受ける。もちろん、_O Superman_ (1980) のようなレコードで Laurie Anderson を知ったという自分の経緯も、影響している のかもしれないが。 そして、特に1980年代のパフォーマンスは、1990年代の techno 以降とはサウンド が違うのが、感慨深かった。当時の New Wave のセンスが音楽に刻印されていると いうのもあるのだが、音楽のスタイル以前に個々と音のレベルで違うのだ。例えば、 胸や膝に Linn drums を仕込んだ _Drum Suit_ (1985) など、その音自体が 1980年代を思わせるように。 さらに、音だけでなく、ビジュアルの面でも大きく異なっている。服装のセンスが カジュアル化する "club culture" 以前ということもある。機材にしても、 ノートブック・パソコンが一般化して誰もがそれを弄るようになり、各種機材も 廉価になって市販品を適当に組合せて使うようになる以前。それも D.I.Y. とは違う オーダーメイドな感じだ。このようないかにも金がかかっていそうな制作も、 1980年代の New York っぽい所のなのかもしれない。 そんな感じで作品そのものというより、それが醸し出す時代の方が強く感じられた 展覧会だった。 sources: Laurie Anderson, http://www.laurieanderson.com/ 2005/10/13 (2005/09/10) 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html