『大道芸ワールドカップ in 静岡 2005』 _Daidogei Worldcup in Shizuoka, 2005_ 駿府公園, 青葉シンボルロード, 等, (静岡市内) 2005/11/3-6 http://www.daidogei.com/ 今年は11/3〜5の2泊3日で観てきた。そのうち、最も印象に残ったものについて いくつかコメント。 Avanti Display _Mr. Lucky's Party_ 2005/11/04, 16:00〜; 11/05 13:00〜 - Directed by Brian Popay of the Natural Theatre Company. - Conceived and devised by Bill Palmer, Trevor Stuart, and Helen Statman. - http://www.avantidisplay.com/ Avanti Display は水を仕掛けに使った野外劇で知られるイギリス (UK) の カンパニーだ。今回上演した作品 _Mr. Lucky's Party は、2003年にイギリスの Royal National Theatre によって委嘱された作品だ。ストリート・ハプニング 作品 _Mr. Lucky_ で使ってきたキャラクター Mr. Lucky を主人公とし、 その相手の女性、カフェのウェイターを絡めた、30分程のユーモラスな無言劇だ。 Mr. Lucky の座ったカフェの席は傘の下だけ雨降りになるなど、まさに「湿って」 盛り上がらない誕生パーティを、少々ブラックなユーモラスに繰り広げるのだが、 そこからしけたミュージカルのような展開になるのも面白かった。 そういう抑えた展開から、Mr. Lucky のその相手の女性がコートと帽子を脱いで パッと場面転換する所が、とても気に入った。少々老けた男女った Mr. Lucky の カップルが、服装、髪型も若返るのだが、それだけで、演じている場全体を変えて しまったような感じだ。暗く湿っぽい雨から、情熱的な恋愛を演出するような雨へと、 降る水の意味合いも変わってしまうような。しけた感じから華やかな感じへの 落差の大きさも良かったように思う。 Mr. Lucky 登場のシーンでは、コートに黒い傘を差した姿で登場するのだが、 天気にもかかわらずその傘からは水が滴っており、その水に観客は驚かされる。 こういう所などに元のハプニング作品 _Mr. Lucky_ の演出を残していたように 思われるが、全体としては、あまり観客を巻き込んで濡らすような演出は少な かった。そういう点は、少々物足りなかった。 ちなみに、_Mr. Lucky's Party_ に出演している Trevor Stuart と Helen Statman は、 Cocoloco というパフォーマンス・カンパニーもやっているようだ。 また、Helen Statman は、映画 Underground (Emir Kusturica (dir.), 1995) で シナリオライター (screenwriter) をつとめている。 Les Bleus De Travail _Ca S'Annonce Mal_ 2005/11/04 18:15〜, 11/05 12:00〜 - http://www.lesbleusdetravail.com/ フランス (France) のカンパニー Les Bleus De Travail による、アクロバット ・ショー。清掃作業員の服装で、そのうち一人はいかにも「アラブ系」という、 都市下層のキャラクタに扮して、ボケで少々風刺の効いた笑いを取りつつ技を見せ ていく。特にとても凄い技が出てくるというわけではないが、場の雰囲気やノリが 自分の好みだった。 _ _ _ その他にも、フランスの歌うアクロバット・カンパニー Les Acrostiches の 伴奏に使った中華鍋と蓋を合わせたような steel pan drums のような楽器の繊細な 響きも印象に残った。 また、大道芸フェスの予定調和的な盛り上がりに反骨を示して、選んだ客が芸に 使われるのを嫌がったところ、他の客を使わずそのままフェードアウトするように ステージを終わらせてしまう ダメじゃん小出 もさすがだと思った。 全体としては派手に盛りあげるパフォーマンスが多いのだが、繊細さや、暗く しけった感じ、ダメさ、などもユーモアをもって巧く演出し、盛りあげる場との コントラストを巧く付けていたものが印象に残ったように思う。 今年は政令指令都市移行記念とということで、サーカステント公演が行われたり、 メインステージを有料化したり、と、大道芸のみというスタイルから脱しつつある ように感じたフェスティバルだった。観客が集まり過ぎて、大道芸という運営を 維持するのが大変になってきているのだろうか、とも感じられた。 そのうち、サーカステントでの公演を見てきた。 Bingo 2005/11/04, 19:00〜 ウクライナ (Ukraine) のサーカス・カンパニー Bingo による公演だ。男女6名 ずつ12名のパフォーマーが、ダンスや空中芸等を繰り広げた。 空中芸やコントーションの動きの綺麗さ、ダンスや縄跳びなどでの息の合った ところはさすがだと思った。そしてその演出は、コンテンポラリー・ダンスの ようなアーティスティックなものではなく、シンクロナイズド・スイミングや フィギュア・スケートのようなスポーツ競技での演出に近いものを感じた。 音楽と衣裳のセンスも近いし、高度なテクニックを繰り出し、ベタな美しさ・ 力強さのみを一本槍で演出するような所が、そう感じさせた所だった。 もちろん、そういうショーも嫌いではないし、単独で観ていたらもっと印象に 残ったかもしれない。しかし、大道芸ワールドカップ in 静岡 2005 全体の中では、 やはり、Avanti Display や Les Bleus De Travail の方が面白く感じられたのも 確かだ。 references: 大道芸ワールドカップ in 静岡 2005 写真集, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/photoalbums/Shizuoka2005/index.html 2005/11/07 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html