2005年に観た展覧会・ダンス演劇等の公演など10選。 第一位: Berliner Ensemble, _Der Aufhaltsame Aufstieg Des Arturo Ui_, 新国立劇場中劇場, 2005/05/26, 演劇. 1930年代のドイツにおける Hitler 率いる Nazis の台頭を、大恐慌時代のシカゴ における Arturo Ui 率いるギャングの台頭という形にして描いた作品だが、 Brecht や Mueller らしい異化を使った演出も可笑しいのだけれど、Arturo Ui を 演じた Martin Wuttke の圧到的なキャラ立ちが楽しめた作品でもあった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05062601 第二位: Avanti Display, _Mr. Lucky's Party_, in 『大道芸ワールドカップ in 静岡 2005』, 静岡市内, 2005/11/3-6,, 野外パフォーマンス. 水を仕掛けに使った野外劇で知られるイギリスのカンパニーによる、Mr. Lucky の 周りだけ雨降りになる「湿って」盛り上がらない誕生パーティを演じた無言劇。 水によるハプニング的な面も楽しいが、Mr. Lucky のその相手の女性がコートと 帽子を脱ぐことにより、演じている場全体をしけた感じから華やかな感じへと、 暗く湿っぽい雨から情熱的な恋愛を演出するような雨へと転換したのが、 感動的だった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05110501 第三位: 『フルクサス』展 (_Fluxus: Art Into Life_), うらわ美術館, 2004/11/20-2005/2/20, 美術展. 当時の記録を主とした展示は死んだもののように感じたのも確かだが、コンダクタの 指示に合わせて紙を破ぶるパフォーマンス Ben Patterson, _Peper Piece_ の再現は、 大人も子供も100人以上が紙を破り紙切を投げ合いかけ合う様は祝祭的な楽しさが あったし、パフォーマンスが終った後の白と茶のくしゃくしゃな紙切れがギャラリー フロア一面にぶちまかれた様は美しくすらあった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05012301 第四位: Zingaro, _Loungta, Les Chevaux De Vent_, 木場公園内特設シアター, 2005/03-05, サーカス. 馬一体でなければ実現できない高度な馬術からなる演技を、笑えるものから迫力の あるものまで、巻き起こす風や飛ぶ砂を感じることができるほど間近に観ることが できただけで十分に満足できた。演出も、普通にサーカス的な面を多く残していて、 むしろそこが楽しめた。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05040901 第五位: Chipolatas in 『世田谷アートタウン2005』, 三軒茶屋界隈, 2005/10/22,23, 野外パフォーマンス. アコーディオン弾きを挟んでのジャグリングのデュオをしたり、ジャグリング の技に合わせて言葉でリズムを作っていきそれを音楽に展開しする。そんな彼らの 小型のアコーディオンとドラムキット、カウベルにメガホンで繰り出すアップテンポ なフォークチューンは、パフォーマンスの伴奏という域を越え、それだけで充分に 客を乗せられるほどのものだ。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05102301 第六位: Anish Kapoor, _Japanese Mirrors_, SCAI The Bathhouse, 2005/11/18-12/22, 美術展. ベルベットのような表面から一転して、同様の凹面の形状ながら、木に漆を塗った 微妙に波打った鏡面のような表面を持った作品だ。この作品の前で移動していると、 上下が反転するだけでなく、この微妙な波打ちが作りだす鏡像の歪みがによって、 観ていてバランスを崩されるような感になるところが、とても面白かった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05121701 第七位: 『サイト・グラフィックス ― 風景写真の変貌』, 川崎市民ミュージアム, 2005/1/20-4/10, 写真展. 構築から破壊・廃虚化に至るライフサイクルが一巡し、その過程が全て既視なものに なり、わざわざそこに意味を感じることもなくなったような、開発〜破壊・廃虚化の 場所が遍在化し画一化し匿名的になってしまった感覚を写し出した展覧会だった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05030501 第八位: Schaubuehne am Lehniner Platz, Berlin, _Nora_, 世田谷パブリックシアター, 2005/06/18, 演劇. _Nora_ は、『人形の家』 (Henrik Ibsen, _Et Dukkehjem_, 1879) を原作とし、 舞台を現代へ、19世紀のブルジョワを現在のビジネスエリートへ置き換えた作品だが、 脚本をそのまま使うことにより原作の現代におけるアクチュアリティを、Ibsen の 切り開いたリアリズム演劇の現代におけるアクチュアリティを問うていたように 感じられた。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05061801 第九位: Latitude Compagnie, _Le Tennis_ in 『汐留アート・ダイドウゲイ』, 汐留シオサイト, 2005/08, 野外パフォーマンス. ジャグリングをテニスの試合に模して見せるのだが、試合の駆け引きという枠組を 巧く使い、時にシリアスに時にユーモラスに技を見せるだけでなく、大道具小道具の 仕込みに手抜きが無いのも楽しいパフォーマンスだった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05082701 第十位: 大巻 伸嗣 『ECHOES -INFINITY-』, SHISEIDO GALLERY, 2005/8/23-9/25, 美術展. 敷き詰つめられたフェルト状の白い床材の上に描かれた花は模様は、観客がその上を 歩くこよによって、踏まれ、擦れてぼやけ、色が交じり濁った色の汚れのように なって消えていく。それが、花畑の中にできたけもの道のように、観客の動きを 映し出すような所が、面白かった。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/05082702 2006/01/01 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html