植田 正治 『写真の作法』 東京都写真美術館, http://www.syabi.com/ 目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 (恵比寿), tel.03-3280-0099. 2005/12/17-2006/2/5 (月休;祝開;祝翌火休;12/29-1/1休), 10:00-18:00 (木金10:00-20:00, 1/2-4:11:00-18:00). 鳥取を拠点に戦前期から活動した写真家 植田 正治 の戦前期から晩年の作品 まで通して展示した回顧展だ。 通して観ていても、代表作とも言われる1930年代から1950年代くらいまでの 『砂丘』シリーズや『童暦』シリーズのような作品が面白い。被写体にポーズを 撮らせる演出写真なのだが、単に演出されているだけではなく、鳥取砂丘周辺の 自然でかつ日常離れした風景があってこその面白さなのだと思った。 『パパとママとコドモたち』 (1949) に象徴的なように、不自然な人の配置ながら、 合成やジオラマでは得られない自然な感じで、成立したばかりの近代的な核家族 の姿を、ちょっとシュールに異化しつつ象徴的に捉えている。それが面白い。 しかし、晩年のファッションデザイナ 菊地 武夫 とのコラボレーション 『砂丘とモード』シリーズでシュールさも違和感というよりデザイン的なもの になっているのを観ると、『砂丘』シリーズの面白さも危ういバランスの上に あったのかなとも思う。 晩年の作品となる、ヨーロッパで撮った『音のない記憶』シリーズでは砂丘を 舞台にした写真にあったシュールな違和感は失われてしまうし、模型を撮影した 『幻視遊間』シリーズでは不自然に過ぎて面白さが損なわれてしまうようにも 感じられた。 sources: 植田正治写真美術館, http://www.japro.com/ueda/ 2005/01/03 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html