牛島 達治 a piece of space (APS), http://www.a-piece-of-space.com/ 中央区銀座1-9-8奥野ビル511号室, tel.04-3567-4330. 2005/12/07-24 (土日月休), 2006/1/9-11, 12:00-19:00. それなりの機能はあるのだけれども、その機能が限りなく無用に近い装置を作る 作家の展覧会だ。建物の屋上や広い吹抜けに巨大な装置を作る作家という印象が 強いのだが、この展示は2m四方程度のビルの一室に、指先大の大きさの粘土を こねる装置を展示していた。従来の派手なメカという感じとは違う、さりげない 音と動きが楽しめる佳作だった。 実用性の低い機械というとナンセンスだったりユーモラスだったりする場合が 多いけれども (例えば 明和電機 や初期の ヨシタケシンスケ)、牛島 の場合は もっとニュートラルな感じだ。 直径10cm程度の2枚のアクリルの円盤の間に粘土を挟み、円盤の回転によって 練る動作を実現している。この回転を実現するステッピングモーターが発する 音が音楽のようなそうでないような感じになっているのが、とても面白かった。 ステッピングモーターの音の方が先にあって、それを可視化するために粘土を こねる機能を付けたのではないかと思うほどだ。そして、可視化として観ても、 ミニマルな動きによって実現しているだけに、単純に綺麗ともユーモラスとも違う さりげなさが良かった。 惜しむらくは、最後の粘土を吐き出す動きは装置に任せている一方、粘土を挟み 込む操作にはオペレータが必要だということ。自動化するというより、観客に でも出来るようにしておくのが面白かったのではないかと思う。 2006/01/09 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html