牛島 達治 旧日本郵船倉庫3F (BankART 1929 NYK) 2005/10/28-未定, 11:30-19:00. 牛島 は無用の機械の作品で知られる作家だ。BankART 1929 主催でみなとみらい 地区の歴史的建造物を対象に去年末に開催された『Landmark Project』の一環 として、牛島 は BankART 1929 NYK の入っている旧日本郵船倉庫の3Fに巨大な インスタレーションを設置した。その作品がまだ残っているということだったので、 遅れ馳せながら観に行ってきた。 作品は3点あった。『イトナミ、オクからテマエを越えて スウット スウット 改』 (2001) は、床に小さな渦巻を書いて行く自走式プロッタのような機械で、プロッタ のヘッドにあたる部分に小型カメラを仕込んであり、その映像を床に投影していた。 動きが速くないため、カメラが捉えた映像のプロッタの動きへフィードバックして いるのかどうかも不明で、観ていていまいちピンと来なかったが、映像と機械の 組合せがフォトジェニックに感じられて、それが興味深かった。 土の山の軸を空にし、そこに上から掘り崩す機械を置いた『Hommage To The Moon』 (c.2005) は、機械の動きそのものより、崩れた山のシルエットときしむ機械の音が、 荒廃した雰囲気の日の入らない暗い廃倉庫の空間に合っていた。 日の入る広めのスペースに設置された『記憶―原動―場』 (2005) は、長方形の スペースの短辺側に4基ずつ床上30cmくらいの所にプーリーが設置され、それらに ローブが巡らされている作品。ロープをループさせるため一つの対角線方向に 天井経由でロープが巡らされているのだが、そこに土がいっぱいに入ったブリキの バケツが2つ下がっていた。その重さとプーリーの摩擦もあって、バケツは微妙に 揺れ続けている。ロープが巡ってもローブ自体には見た目に動きはほとんど無く、 揺れるブリキのバケツだけが、この作品の動きとなっている。ロープの張る高さを 高くしたりプーリーの数を増やした方が作品の存在感があって面白くなるのでは ないかとも思ったが、大がかりな割にさりげない作品の存在感が、空虚に荒廃した 空間に対する表現なのかもしれない。 特に、『Hommage To The Moon』と『記憶―原動―場』は、廃倉庫の暗く荒廃した 雰囲気に依り過ぎていて、もっと雰囲気を変えるようなものを持ち込んで欲しかった けれども、廃倉庫の雰囲気も好きだし、その点では楽しめた作品だった。 sources: BankART 1929, http://www.h7.dion.ne.jp/~bankart/ 2006/03/21 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html