『私のいる場所: 新進作家展 vol.4 ゼロ年代の写真論』 _Absolutely Private: On Photography from 2000 to the Present_ 東京都写真美術館 2006/3/11-4/23 (月休), 10:00-18:00 (木金 10:00-20:00) - Part 1: 『私のなかの私』 (_Myself Within Me_): 塩田 千春, Jean-Paul Brohez, Anni Emilia Leppala, Elina Brotherus, 染谷 亜里可; Part 2: 『社会のなかの私』 (_Myself In Society_): 原 美樹子, Szabo Sarolta, 池田 晶紀, 姜 愛蘭, Jacqueline Hassink, Nicole Tran Ba Vang; Part 3: 『日常への冒険』 (_Adventures In The Every Day_): セカンド・プラネット, みうらじゅん, Lomography. タイトルにあるように、比較的私的な表現を志向する作品を集めた写真展だ。 しかし、結局、Part 2 の『社会のなかの私』ような良くも悪くも直接的な社会性を 感じる作品の方が好みだった。印象に残った作家についてコメント。 最も気に入ったのは、Jacqueline Hassink, _Personal Coffee Cups_ (2000)。 オフィスで使われている「マイ・カップ」を撮って並べた作品なのだが、そこから 全体的なオフィスの傾向 (IT企業なのかな?) や、個々のカップの持ち主の ギャラクター (性別、趣味、体形など) を思わず想像したくなるような所が 面白かった。これで、カップの写真の撮り方が、もっとニュートラルな背景に 几帳面な構図で撮られていれば美しかったのに、とも思ったが。 Szabo Sarolta, _Experimental Housing Estate_ (2002-03) は少々映画的な 演出写真と、図面的なイラストの併置から、集合住宅のちょっと不気味な雰囲気を 浮かびあがらせる作品。写真だけだと David Lynch ぽいかなとも感じたけれど、 イラストがそれを突き放しているバランスが良く感じられた。 Nicole Tran Ba Vang の作品のファッションと性の制度というテーマは、ありがち とも思ったが、特にコレクションを模した一連の写真作品は、ファッションに 対する諷刺を込めながら、ファッション写真として普通に通用しそうな綺麗さが、 その両義牲も含めて興味深いと思った。なんとも微妙かな、とは思ったが。 soureces: 東京都写真美術館, http://www.syabi.com/ 『私のいる場所: 新進作家展 vol.4 ゼロ年代の写真論』, http://www.syabi.com/schedule/details/sakka_vol4.html 2006/04/01 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html