『カルティエ現代美術財団コレクション展』 _Collection of the Fondation Cartier Pour L'Art Contemporain at MOT_Tokyo_ 東京都現代美術館 2006/4/22-7/2, 10:00-18:00 (月休, 5/1開) - Jean-Michel Alberola, Claudia Anjujar, Richard Artschwager, Vija Celmins, Yaima Carrazana Ciudad, James Coleman, Marc Couturier, Raymond Depardon, Beaurin Domercq, William Eggleston, Nan Goldin, Raymond Hains, David Hammons, 川内 倫子 (Rinko Kawauchi), William Kentridge, Bodys Isek Kingelez, Liza Lou, 松井 えり菜 (Erina Matsui), Alessandro Mendini, 森山 大道 (Daido Moriyama), Ron Mueck, Mark Newson, Dennis Oppenheim, Jean-Michel Orhoniel, Tony Oursler, Panamarenko, Artavazd Pelechian, Cheri Samba, Alain Sechas, Sarah Sze, Adriana Varejao. フランスのパリ (Paris, France) の Fondation Cartier pour l'art contemporain (カルティエ現代美術財団) のコレクションに基づく展覧会だ。コレクションは 設立された1984年以降のものが中心で、post-modern な作風、というか、modernism ではなくて surrealism の流れを汲む表現のものが多かった。 特にこれといったテーマに沿って展示が作られているわけではないので、企画全体の 印象としては大味。大きな作品が中心の展示で、繊細な味わいを楽しむ作品があまり 無かったというのもあるかもしれない。といっても、個々の作品については興味を 惹かれた作品はあったので、個別にコメント。 アメリカの作家 Tony Oursler _Mirror Men (Dead Eyes Live)_ (2003) はギャラリー 空間に所狭しと感じる程度に直径1.5mくらいの球を並べ、そこに人の目を投影する という作品。目だけではなく他の映像がオーバーラップされる場合もある。たしかに、 巨大な眼球がごろごろしているかのような空間は、入ろうとする瞬間はぎょっとする 所はある。しかし、読経のようなB.G.M.もあり、普通に思索的な空間という感もする。 家具などに押し潰されて呻き声をあげているかのような投影をしていた1990年代半ばの Oursler の作品にあったサブカルチャーっぽい不気味可愛さが薄くなって、普通に 現代美術ぽくなったという印象も受けた。それはそれで悪くはないが、少々感慨 深かった。 Dennis Oppenheim, _Table Piece_ (1975) はこのコレクションの中でも古い作品だが、 白黒付ける議論の困難さというテーマだけでなく、長大なテーブルが作品中の2人の 人形の距離をあらわしているだけでなく、ギャラリーを2つに区分することにより 観客もこちら側とあちら側に分けてしまうという所といい、やかましい音といい、 コンセプトから形まで、他の作品と比べてもよく出来ていると感じた。しかし、 こういう作品が作られ得たのも、1980年代に入る前だったからなのかな、とも思って しまった。 やはりアンディンティティ・ポリティクスをテーマとした作品も多かった。1990年代 なら楽しんだろうけれども、今の自分にとってはピンと来ないものも少くなかった。 そんな中では、David Hammons のアフリカの伝統的な仮面を使った一連の作品や、 Adriana Varejao の白いタイル壁の中に臓物が詰まっているかのような立体作品が 良かっただろうか。あと、Liza Lou, _Back Yeard_ (1995-99) も、アメリカ (US) の 郊外の住宅の裏庭をほぼ実寸大でビーズ細工で再現することにより、そのキッチュ さがより際立っていたところも興味深かった。pink flamingo もあったし、これも アメリカ郊外のアイデンティティの問題、というか。 日本の作家では、森山 大道 による ポラロイド写真を使ったフォトコラージュ 「ポラロイド・ポラロイド」 (1997)。ポラロイドを使ったフォトコラージュといえば David Hockney とかも連想するが、ギャラリー4面の壁にぐるりとマトリックス状に 整然と張りつめていて、それが迫力。安アパートの室内らしき被写体よりも、 タイル貼りのようになっていたのが、面白かった。 sources: Fondation Cartier pour l'art contemporain, http://www.fondation.cartier.fr/ 東京都現代美術館, http://www.mot-art-museum.jp/ 2006/06/25 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html