『光の魔術師 ― インゴ・マウラー展』 Ingo Maurer, _Light: Reaching For The Moon_ 東京オペラシティアートギャラリー 2006/07/08-09/18 (月休;7/17,9/18開;7/18,8/6休), 11:00-19:00 (金土11:00-20:00) 1960年代末頃から照明デザイナー・プロダクトデザイナーとして活動する ドイツ (Germany) 生まれのデザイナーの、Vitra Design Museum 企画の 回顧展的な巡回展だ。 典型的な post-modern とはちょっと違うように感じたが、やはりその手の作品が 多いだろうか。羽根付きの電球をテーブルランプにした "Lucellino" や Campari の瓶を笠状に束ねてランプシェードを作った "Campari Light" など、有名だと 思うけれども、実物を見ても良いとは思わなかった。しかし、その一方で、電源の 配線の処理の工夫や新光源の利用など、面白いと思うものもあった。 一つは、2つの架空ワイヤー間に電圧をかけ、その間を渡すようにワイヤーで 光源を下げる _Ya Ya Ho_ (1982) や、その発展形として、多数の架空ワイヤーを 使うインスタレーション _Symphonia Silenziosa_ (1998)。光源やリフレクタの 支持体と給電の配線が一体化されることにより細いワイアーが織りなす構造の 間に無駄な配線が見えず、すっきりして見えるのが、とても良かった。ちなみに、 _Symphonia Silenziosa_ は Issey Miyake の1999/2000秋冬コレクションの ファッションショーでも使われており、その様子のビデオも上映されていた。 それを観ていて、コンテンポラリーダンスの舞台装置とかに応用が効きそうと 感じられた。 もう一つは、ガラスのテーブルに白色ダイオードを埋め込んだ _LED Table_ (2003) とガラスのベンチ。白色ダイオードへの配線が見えず、ガラスの中に白い光の 粒が埋め込まれているように見えるのが、とても面白く、そして綺麗だった。 展示に説明が無かったので推測だが、おそらく、フラットパネルディスプレイや 太陽電池等でよく使われている透明導体膜付きガラスを使用してガラスを透明導体膜 を交互に重ねた5層を作り、二つの透明導体膜間にダイオードを挟み込む、という 構造だろう。光の粒を埋め込んだガラスというアイデアと、それを実現するための 透明導体膜付きガラスを使った給電や白色ダイオードの採用、という技術的な センスのバランスがとても良いと感じた。 sources: Ingo Maurer, http://www.ingo-maurer.com/ 東京オペラシティアートギャラリー, http://www.operacity.jp/ag/ 『光の魔術師 ― インゴ・マウラー展』 @ 東京オペラシティアートギャラリー, http://www.operacity.jp/ag/exh74/index.html 2006/07/15 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html