畠山 直哉 / バルタザール・ブルクハルト 『二つの山』 Naoya Hatakeyama / Balthasar Burkhard, _Two Mountains_ 東京アートミュージアム 2006/4/7-7/30 (火水木休,祝開), 10:00-18:30. Balthasar Burkhard (4/7-5/28), 畠山 直哉 (6/2-7/30). 日本とスイス (Switzerland) の2人の写真家による日本とスイツの山の写真の展覧会だ。 Burkhard は日本の熊野・高野山を、畠山 はスイスのアルプス (Alps) を撮っている。 Burkhard 展の方は観ていないが、畠山 展の方を観てきた。 印象に残ったのは、雲にかかった山を捉えた写真だ。ギャラリーに入ってすぐにあった3点、 特に岩山の頂きに雲が絡むような写真を観て、2003年に写真フェスティバル Rencontres d'Arles のために制作した『ATMOS』、特に Arles 近郊 Fos-sur-Mer の製鉄所の写真を思い出した。 製鉄所の構造が岩山に、そこから吹き上がる蒸気が雲になったような感じで、いかにも、 畠山らしい写真だと思った。特に、日の当たる山の斜面に雲がまだらに貼り付く様子を 捉えた写真は、固定的で輪郭のはっきりした物体 (岩山) と瞬間的で不定型なもの (雲) を 対比させつつも、混然一体となった画面を作り込んでいて、とても面白く感じた。 もう一つ印象に残ったのは、夕闇に沈む谷と夕焼けの輝く峰を一つの画面に捉えた写真だ。 水平線や地平線といった明瞭なものではないが、日没の明暗で画面を二分割することにより、 とても不思議な画面を作り出していた。『渋谷川』連作ににおける、照明に明るくコンクリートの 護岸という画面下半分と暗い空にネオンが光るビルという画面上半分という画面を、 ちょうど反転したかのようになっているのも面白かった。 他にも氷河の末端やU字谷を捉えた写真にも『採石場』シリーズと共通する画面を感じたのも 確かだが、自然写真から大きく外れるものでも無いとも感じた。むしろ、雪原上の人を捉えた ほとんど全く真っ白な写真は、今までの畠山の作風にあまり無かったように感じ、今後、 どう展開されていくのか気になるところだ。 sources: 『二つの山』展 @ 清水敏男事務所, http://www.shimizuoffice.com/twomountains/ 東京アートミュージアム, http://www.tokyoartmuseum.com/ 畠山 直哉 『ATMOS』 展 レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/03112901 2006/07/16 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html _ _ _ 畠山 直哉 (Naoya Hatakeyama), _Zeche Westfalen I/II Ahlen_ タカ イシイ ギャラリー 2006/06/23-07/22 (日月祝休), 12:00-19:00. ドイツ・ノルトラン=ヴェストファーレン州アーレン (Ahlen, Nordrhein-Westfalen, DE) にある廃工場の取り壊し直前、爆破による取り壊しの瞬間、そしてその後始末の様子を捉えた写真だ。 やはり、一番の見どころは爆破の瞬間の写真。採石場の発破爆発を捉えた『BLAST』シリーズと 稼働中の製鉄所を捉えた『ATMOS』を思わせる仕上りとなっている。 近代廃墟の写真といえば、宮本 隆司 と比較したくなるが、比べて 畠山 の写真はぐっと静的で 距離を置いた印象を受ける。取り壊し前に廃工場内も撮影しているが、正面から捉えたような 写真が多く、宮本 の 九龍城 の写真に感じるようなあまり廃工場内を歩き回っているような 感覚を受けない。もちろんそれが悪いわけではなく、ロッカーや天井から吊るされた鎖と金属製 の篭を捉えた写真など面白いとは思ったが、その違いも面白く感じられた。 sources: タカ イシイ ギャラリー, http://www.takaishiigallery.com/ _Zeche Westfalen I/II Ahlen_ @ タカ イシイ ギャラリー, http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2006/06_Zeche_Westfalen_I_II_Ahlen/japanese.html 2006/07/24 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html