Tr'espace in 大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 2006/11/2-5 - Petronella von Zerboni (diabolo), Roman Mueller (diabolo), Mischa Blau (contrabass). 大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 で最も印象に残ったのはスイス (Switzerland) を拠点に活動する3人組 Tr'espace だった。ドイツ (Germany) 出身の Petronella von Zerboni とスイス出身の Roman M��ller の 2人のデイアボロとダンスのデュオ Duo Tr'espace として、2003年に結成。その後、スイス出身の bass 奏者 Mischa Blau が加わって Tr'espace となった。2004年の 三茶 de 大道芸 に Duo Tr'espace として 来日している。今回上演した作品は、2人のディアボロに bass が絡む _Rencontre D_ を大道芸向けに再構成したものと思われる。 ディアボロを使っているものの、彼らの作品は、サーカスというよりもむしろ ミニマルなコンテンポラリー・ダンスに近い雰囲気を持ってる。その印象を受ける 理由はいくつかあるだが、まず一つに表現の抽象度が高いということがある。 全体的な構成も具体的な物語り仕立てではなく、出演者もあるキャラクタを演じて いるわけではない。衣裳もモノトーンで装飾を抑えてシルエットを生かしたもの。 音楽もヨーロッパの同時代的な jazz/improv に近い、フリーキーな演奏を多用した bass を live electronics で弄る音色やテクスチャを重視したものだ。もう一点、 彼らの立ち振舞いの優雅さも、コンテンポラリー・ダンスに近い。舞台を広く使い 駆け回ることもあるし、静かに立ったり歩いたりもするだが、それがとても軽く 滑らかで、バタバタした所が無い。パフォーマーは皆スタイルが良いのだが、 特に、女性パフォーマーの Petronella von Zerboni はモデルとしても普通に 通用しそうだ。そんな表現の抽象性と優雅さが、このカンパニーの魅力だ。 しかし、このカンパニーが良いのは、この構成力だ。ディアボロの技があって それを物語的な要素やダンスで繋ぐのではなく、ディアボロを巡る動きとして ステージがちゃんと構成されている。もちろん、ディアボロの技術自体もかなり 高度だが、技それ自体を見せるというよりも、技を織り込んだ動きの面白さ・ 美しさを見せるよう、構成されている。時間的展開だけでなく、空間的な構成も良く、 ステージを自由度高く広く使っている。距離を置いたり、体を寄せたり、丸く 走ったり、交錯するように動いたり、その立ち位置や動きのラインでステージに 抽象画を描いていくようだ。 といっても、ここまでは、2004年に Duo Tr'espace として観たときと大きく変ら ない話だ。しかし、今回は bass 奏者が加わって、さらに表現の幅が広がった。 bass 奏者も、単なる伴奏ではなく、その動きの空間構成にも加る。bass の エンドピンにキャスターを付け、ディアボロをしている2人と同様にステージ上を 動きまわる一方、bass を台のように使い他の2人と絡めることもあった。 このような優れた時間・空間的な構成、音楽演奏の絡め方は、コンテンポラリー・ ダンスの公演でもなかなか観られないものだ。ヌーヴォー・シルクはもちろん、 コンテンポラリー・ダンスに興味あるような人たちにも、是非観て欲しい作品だ。 sources: Tr'espace, http://www.trespace.com/ 大道芸ワールドカップ in 静岡, http://www.daidogei.com/ 大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/06110503 大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 写真集, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/photoalbums/Shizuoka2006/index.html Duo Tr'espace in 三茶 de 大道芸 2004 のレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/04102301 2006/11/7 (2006/11/5) 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html