『大道芸ワールドカップ in 静岡 2006』 _Daidogei Worldcup in Shizuoka, 2006_ 駿府公園, 青葉シンボルロード, 等, (静岡市内) 2006/11/2-5 今年は11/2〜4の2泊3日で観てきた。最も印象に残ったものうち、Tr'espace と Cocoloco については、別にレビューを書いてある。 Tr'espace レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/06110401 Cocoloco, _Mafia Wedding_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/DoH/06110401 それ以外の興味を惹いたものについて、コメント。 Les Acrostiches http://www.lesacrotsiches.com/ フランス (France) の歌うアクロバット & ジャグリングのカンパニーだ。 今年からミュージシャンというかパーカッショニストを加えての4人編成になった。 以前から良いとは思っていたが、ミュージシャンを加えてさらに良くなった。 単に伴奏するだけでなく、身体の動かなさも道化的な役回りとして活用して、 パフォーマンスに絡んでいた。特に、ミュージシャンを交えてのパーカッション 演奏とコーラスをしながらのアクロバットは、その一体感と流れのある構成が、 とても良かった。 Daniela & Marcello http://www.danielamarcello.com/ この男女デュオも、violin を演奏しながらのアクロバットと綱渡りだ。 特に構成が凄いというわけではなく、ちょっとしたサーカスの一幕という感じだが、 録音の音楽を使わず演奏と絡めたパフォーマンスは、好みだ。 観たときは途中で小雨がパラつくなどコンディション的に最悪だったが、 演技は安定していた。 Los Excentricos http://www.losexcentricos.com/ フランス (France) / カタルーニャ (Catalunya) のクラウン3人組によるコミカル な音楽芸のショーだ。2001年に観たスペインのカンパニー Le Espejo Negro に してもそうだが、こういうヨーロッパの田舎町の小劇場を巡業していそうな雰囲気 を出してるミニサーカスというかコメディ劇団は、ほのぼの可愛らしくて、好みだ。 みせる大技とかあるわけではないが、ちょっとした振舞・仕草・小技を積み重ねて ちゃんと場の雰囲気を作ってしまう所が、素晴らしい。もちろん、録音の音楽は 使っていない。 Les Frere de la Sangsue, _Tragedie Microscopique_ http://www.losexcentricos.com/ カナダ (Canada) のカンパニー。ホラー見世物小屋と蚤のサーカスを合わせたような 物といえばそれまでだが、見世物小屋的なノリを巧く出していた。 Dynamogene, _Monsieur Culbuto_ http://www.dynamogene.net/ 人間おこりあかりこぼしによるグリーティングといえばそれまでだが、キャラ立ち、 造型が良かった。ファンシーだったり普通に綺麗な感じではなく、剥き出しで 赤錆びた鉄球に労働者風のごついおっさんが載った無骨な感じで、ぱっと見が 親しみやすいとは言いがたい。運搬役も一癖ある労働者風。で、台車を持ってきて、 すこっと嵌めて持っていってしまう。そんな無骨な無愛想さの中に、ふっと可愛ら しさが浮かび上がるような瞬間があるのが、とても良い。 しかし、2002年の Les Vernisseurs にしても、2005年の Les Bleus De Travail に してもそうだが、フランスのカンパニーは、都市下層民の人物造形というか キャラクターの作り方がとても巧い。 山本 光洋 http://www.koyoworld.com/ 日本人パフォーマーの中で最も印象に残ったのは 山本 光洋 の「チャーリー山本」。 操り人形を演じるパントマイムのネタだが、セリフ入り。操り人形の動きとセリフの 間の食い違いが醸し出す不条理感も良いのだが、それ以前に、山本 の語り口、 テンポや間合いがなんとも絶妙なのだ。昔は落研にいたいう話を聞いて納得。 このように個々のパフォーマンスはそれなりに楽しめたが、フェスティバル全体と しては従来に比べて小粒感は否めなかった。目玉となる大がかりなパフォーマンス (2005年の Bingo) や、特集といえるような企画 (2004年のエアリアル特集) が 無かったことが大きかったように思う。 あと、観た中でも良かったと感じた Tr'espace にしても2004年に観ているし、 Cocoloco も2005年に Avanti Display として観ている、出場者の顔ぶれに新鮮味が 欠けていた。もちろん、十余年、大道芸を見続けているので、そうなるのもある 程度は仕方無いと思うが、このラインナップは少々残念だった。 sources: 大道芸ワールドカップ in 静岡, http://www.daidogei.com/ 大道芸ワールドカップ in 静岡 2006 写真集, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/photoalbums/Shizuoka2006/index.html 2006/11/7 (2006/11/6) 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html