伊東 豊雄 『建築|新しいリアル』 東京オペラシティアートギャラリー 2006/10/7-12/24 (月休), 11:00-19:00 (金土11:00-20:00) 「エマージング・グリッド」というコンセプトの下、グリッド的ではない建築物をどう造形 していくのか、という試みに焦点を当てた展示だ。単純な反復パターンになることを避けつつ 構造を生成できるシンプルなロジックを考え、それを実現する工法を工夫して、という感じの 問題意識やプロセスが判り易い展示で、興味深く観ることができた。 といっても、最初のギャラリー (space A) の、『台北メトロポリタン・オペラハウス・ プロジェクト』 (2005) の展示は、実作ではなくプロポーザルということもあるが、 大きな模型が展示されているとはいえ、コンセプト先行という印象は否めなかった。 この展覧会に説得力を感じたのは、実寸大の構造を作って、グリッド的ではない建築物をどう 造型するのか具体的に見せた space B と space C だ。特に、床面を波打たせた space C は力作だ。それだけでも実に行って良かったと思った。工法は統一的なやりかたを考えると いうよりも、その時々に工夫しており、それも面白い。 構造そ生成するロジックは比較的抽象的なパズルという感じで、結局は環境や土地の文脈を 入れ込むようなものではあまりないようにも思ってしまったが。 伊東 豊雄 の設計した建築は、『みなとみらい21線元町中華街駅』 (2004) くらいしか 実際に観た記憶が無いし、グリッドを排しているとは言いがたい。やはり、『せんだい メディアテーク』 (2000) へは一度行っておきたい、と思わせるくらいの展覧会だった。 sources: 伊東 豊雄 『建築|新しいリアル』 @ 東京オペラシティアートギャラリー, http://www.operacity.jp/ag/exh77/ 2006/12/12 (2006/11/23) 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html