Meet the Curator: Robert Storr 原美術館 Gallery II 96/3/30 18:00-20:00 ニューヨーク近代美術館 絵画・彫刻部門キュレーターRobert Storrの、「ニュー・ グロテスク」に関する講演会があった。 初耳だったので、いったいどういうムーブメントなんだろう、と、期待していたの だけれど、スライドで紹介された作品は意外に既知の作品が多かった。Sonic Youth "Dirty" (DGC, '92)の限定CDのトレイ下に使われたMike Kelleyの作品や、Ripple Across The Waterで出展されていたBruce Naumanの作品。その他にもKiki Smith、 Cindy Sharman、Jeff Kuhnsといった所が紹介されたのを覚えている。 Robert Storrも、この「ニュー・グロテスク」を何か新しいものとしてでなく、 「グロテスク」の語源にまで立ち戻って、「鑑賞者を押しのけるような働きを もった作品」として、「矛盾」「衝突」やsubtleといったキーワードを使いながら、 その社会的風刺といった側面にも言及しながら説明した。 僕がその講演を聴いていて思い出したのが、Greil Marcusが"Real Life Rock"で 言及している、ポストパンクの音楽における「矛盾」「衝突」の役割だ。矛盾が あらわになるところを劇的に表現することによって、日常生活を、なにかわけの わからない、自分を押しのけるものであるかのように、そして皆が共有している ものであるかのようにする力がある、という。 そういうことを考えていると、Sonic YouthがMike Kellyの絵をジャケットに 使ったのは、単に「関係深い」と言う以上のことがあると思うのだ。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕