根の回復として用意された12の環境 - 日本・オランダ現代美術交流展 1995-1996 旧赤坂小学校, 赤坂4-1-26 (赤坂見附) 96/6/9-96/6/23, 11:00-19:00, 無休 - Guus Koenraads, Nico Schulte, Christiaan Zwakikken, Sander Doerbecker, Paul Panhuysen, Felix Hess, 有地 左右一+笹岡 敬, 小杉 美穂子+安藤 泰彦, 佐藤 時啓, 浜田 剛爾, 松枝 秀晴, 水嶋 一江, Christoph Charles 出展しているのが佐藤 時啓以外は作品を見た覚えのない作家だったが、廃校に なった小学校という会場が面白そうだったので行ってみた。最終日とはいえ、 かなり混雑していたのが、意外。しかし、実際、インスタレーション作品が 好きな人ならそれなりに楽しめる展覧会だったと思う。 Christoph Charles "Undirection"というパフォーマンスが14時からあるという ことで、自転車をかっ飛ばして会場に飛び込んだが、会場の屋上に行っても ドラム缶とペンキ缶のインスタレーションしかない。配置されたスピーカーから ときどき効果音のような音が出るのだが、それは端に置かれたMacintoshで操作 されているようで、作家の人が操作というか演奏(パフォーマンス)らしきことを していた。これをパフォーマンスというなら、これほど匿名的なものは初めて観た。 インスタレーションと言って差し支えないと、僕は思うのだが。 他の作家は、それぞれ教室を一部屋インスタレーション作品に仕立てていた。 印象の残った作品だけ触れよう。鳴り物が多く、それが面白かったが。 Sander Doerbeckerの作品は、暗い部屋に青い蛍光燈が付けられたベッド枠が 置かれ、脇に白いパンプスと女性バレエ衣装?が置かれ、心臓の鼓動のような音が 部屋に響き渡るような作品。フェミニスティクな作品だな、という気がして、 ちょっとヒいたが、暗い部屋で静かに目を閉じて鼓動を聞くのは安らぐ。 Paul Panhuysenの作品は、9つの机の上に置かれたバランスの上を転がるビー玉の 音をピックアップで取って増幅して聴かせるというもの。増幅された音があまりに 聞きなれないものになっているので、はじめはそれとわからなかった。これは 単純な自動演奏。もう一工夫足りない気がする。 Felix Hessは教室の床一面にわずかな風にも反応する白い小旗を並べたもの。 ぱっと見がきれいで良い。何回観に行っても窓側から廊下側に向いている旗ばかり なので、監視している係に「風がそう抜けやすいのか、旗がそう向き易いように 作られているのか。」と尋ねたら、前者のこと。そんなものかな。 水嶋 一江は、糸電話を部屋じゅう(廊下まで)無数に張り巡らせたもので、糸を手で しごいて音を出すことができる。実際に15時から演奏(パフォーマンス)があった。 比較的伝統的に作編曲された演奏で、演奏者の動きも面白いといえず、残念。 演奏の後、作家本人と話をした。こういうインスタレーションを使っての演奏なら 即興の方が作品が生きるのでは、と言ったら、最初は即興でやっていたのだけれど、 しばらくやっていたらワンパターンで面白くなくなったので、いまは作編曲を中心に やっている、と。すぐにワンパターンになるほど即興は底の浅いものだとは思わ ないし、作編曲されたものといっていくらなんでもビートルズ・ナンバー (実際、 それをやった。) はないだろう、と思う。そこまでは直接は言わなかったが..。 パフォーマンスでは無い時間帯に、独り糸を鳴らして遊んでいたら、スタッフらしき 人に「糸を鳴らしている所を写真に撮らせてください。」と言われて、様々な アングルで5〜6枚、写真を撮られてしまった。 いずれも、どうも決め手に欠ける、というか、最後の詰めが甘いような印象は否め ないのだが、少なくともまたどこかで違う作品を観てみたい、という気になる くらいの面白さと期待を感じさせてくれた。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕